電車内で咳をしたら「降りろ」と言われた……“コロハラ”が罪に問われる可能性を弁護士が解説
(AH86/iStock/Getty Images Plus/画像はイメージです)
新型コロナウイルスの感染拡大によって、電車やバスなどの公共機関で咳やくしゃみをする人に対し人々が過敏になり、トラブルに発展した事案も報道されている。
咳をしただけなのに「電車から降りろ」と強要された場合、相手が罪に問われる可能性はあるのか。しらべぇ編集部は、レイ法律事務所・大塚仁弁護士に話を聞いた。
■匿名掲示板にも相談が多数
報道されている事案以外にも、新型コロナウイルスへの恐怖から日々様々なトラブルが起こっているよう。『Yahoo!知恵袋』でも、公共交通機関でのトラブルを相談する投稿が相次いでいる。
「花粉症なのにマスクが手に入らなかった」というあるユーザーは、ハンカチで口を抑えながら電車に乗ったときのことを投稿。2回ほどくしゃみをしてしまったところ、周囲から突き刺すような視線を感じたという。
関連記事:電車で咳をすると目の前にいた男性が… あまりの恐怖に言葉を失う
■「降りなさい」と言われ…
その後、投稿者がティッシュで鼻をかんだところ、斜め前の席に座っていた女性から「あなたいい加減にしなさいよ、現在がどんな状況か分からないの、直ぐに降りなさい」と叱責されたというのだ。
周囲からの視線にもいたたまれなくなり、投稿者は途中で下車。その後各駅停車に乗り換えて目的地へ向かったという。このトピック以外にも、電車やバスで咳やくしゃみをした際、周囲から酷い対応をされたといった相談トピックが多数投稿されている状況だ。
■弁護士の見解は…
こうした事案が相次いでいることについて、レイ法律事務所の大塚弁護士は「コロナウイルス関連では、福岡市営地下鉄や山手線などでの咳トラブルが報じられています」とコメント。
法的見解としては「『電車内で咳をした人は降車しなければならない』という法律等はないので、咳をした人は降車義務を負いません」という。
関連記事:北斗晶、花粉症でくしゃみをすると… 周囲にいた人の反応に「怖い世の中」
■「強要罪」になる可能性
続けて、「咳をした人に対して『降りなきゃぶん殴るぞ』などと脅したり、腕を引っ張ったりして、無理やり降車させるケースを考えてみましょう」とし、「『害を加える旨を告知して脅迫し』又は『暴行を用いて』、『人に義務のないことを行わせ』たとして、刑法223条1項の強要罪が成立する可能性があります」と大塚弁護士。
「同条3項で未遂も処罰対象のため、咳をした人が降車しなくても犯罪が成立しえます。法定刑は3年以下の懲役です」とし、「周囲の咳が気になる場合は、自分から電車を降りたほうが良いでしょう」と指摘した。
(文/しらべぇ編集部・越野 真由香 取材協力/レイ法律事務所・大塚仁弁護士)