テレワーク、リモート飲み会、ソーシャル・ディスタンス……。新型ウイルスCOVID-19は、私たちの生活を大きく変えた。いままでの常識がまったく通用しない、そんな手探りの時代を生きるヒントやパワーになるコミック10作品をテーマ別にご紹介。
テレワーク、リモート飲み会、ソーシャル・ディスタンス……。新型ウイルスCOVID-19は、私たちの生活を大きく変えた。いままでの常識がまったく通用しない、そんな手探りの時代を生きるヒントやパワーになるコミック10作品をテーマ別にご紹介。
<目次>
1.自炊がたのしみになる、“小”料理漫画2.備えあれば憂いなし!ウイルス&菌、感染拡大をテーマにした漫画3.おうち時間増量で、読み返したい長編名作4.現実を忘れてキュンキュンしたい! 恋愛マンガ
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1.自炊がたのしみになる、“小”料理漫画
「ステイホーム」で、外食メインだった人が自炊するようになり、もともと自炊派だった人はさらに料理を追求……とはいえ、一日三食の全力料理もキツイ。そこで、最低限の手間で幸せを最大限に高める作品と、食べるのがおっくうだなと感じたときに読んでもらいたい作品をピックアップ。
『レトルト以上・ごちそう未満! スキマ飯』谷口菜津子/KADOKAWA/全1巻
(C)Natsuko Taniguchi/KADOKAWA 2020
味気ないひとりご飯も、おいしく&ウキウキ気分に!
著者は友人を家に招いて手の込んだコース料理を作ったりするグルメな飲んべえさん。しかし、疲れ果てた夜には油や粉(コーンスープの素など)を舐める「お恥(ち)まみ」で晩酌も。酒との相性をとことん追求したレシピや、おつまみノウハウなどを凝縮したのが本作。「豆苗とキャベツ太郎のサラダ」や、目玉焼きやチーズなどをはさむ「みりんせんべいアレンジ」といった駄菓子を使ったメニューから、デパ地下で食材購入して一人手巻き寿司チャレンジをする「3500円で天国に逝ける家飲み」、温泉宿の夕食の主役である小鍋を買い込み、客・女将・料理人の3役をつとめて楽しむ「おうち旅館」など、バラエティ感覚で楽しめるのがうれしい。
簡単、お手ごろ、適当レシピ。手の込んだ料理じゃなくたって、人って案外幸せになれる。
『あさめしまえ』北 駒生/講談社 全6巻
朝ごはん、あなたはどうしていますか?
主人公の日高元は朝ごはん食堂「アサメシマエ」を営むアラサー男子。「アサメシマエ」は、両親の離婚で朝ごはんに飢えていた日高に朝ごはんを6年間食べさせてくれたお店だったが、大将が亡くなって日高が受け継いだ。かつての自分のように、それぞれの夜を越えて朝にたどりついた人たちに、「からだから 朝日がのぼる」ようなおいしい朝ごはんを提供する。
1巻に登場するのは土鍋ごはん、卵黄のしょうゆ漬け、白身のスープ、ピタパン、しょうが焼き、中華がゆ、手巻き寿司など。シンプルだけど、心と体を目覚めさせてくれる、やさしい朝ごはんばかり。亡くなった大将との思い出の“卵黄のしょうゆ漬け”、過保護な母親と反抗期の息子とのわだかまりを解消する“ピタパン”、すれ違ってしまった熟年夫婦の手を再び繋がせる“じゃこごはんおむすび”など、メニューにまつわるエピソードのひとつひとつがあったかい(すべてレシピ付き)。朝ごはんが人を結ぶ本作で、あなたの食事を見直してみては?
2.備えあれば憂いなし! ウイルス&菌、感染拡大をテーマにした漫画
コロナ時代だからこそ知っておくべき一番大切なこと。それはウイルスや菌、感染症拡大についてでしょう。特性や性質を知れば、目に見えないウイルスや菌から身を守りやすくなるし、感染が拡大した場合の心構えも備わってくる。“知識は身を助く”、そんな作品をピックアップ。
『もやしもん』石川雅之/講談社/全13巻
©石川雅之/講談社
「正しく知って、正しく恐れる」ための入門書
「菌が見える」農大の学生・沢木惣右衛門直保(さわきそうえもんただやす)が主人公。農大の独特な雰囲気の中、アクの強すぎるキャラたちが、研究という名のもとに珍事件を巻き起こしていく。
菌やウイルスというとモノクロ写真の堅苦しいイメージなのに、直保の目に映る菌たちは、体にいい菌も悪い菌もゆるキャラ化していて、とってもキュート。「かもすぞー」「デンプンおいしー」と、無邪気にはしゃぐ菌たちの姿は、まさに癒し。集団食中毒を未然に防ぐシーンやサークル棟でのインフルエンザが大流行するエピソードも。そこでは鳥や豚、人間の間を行き来して変異を繰り返すウイルスやマスクによる予防法の限界など、ポイントをおさえた知識が紹介されていて、今役立つ情報も満載。
『Final Phase』朱戸アオ/PHP研究所/全1巻
“見えない敵”に立ち向かう人々の強い意志と静かな希望を描く
昨年、山下智久主演でドラマ化された『インハンド』の作者による、首都圏を舞台にしたパンデミックもの。謎の急性呼吸困難症で死亡する市民が激増する湾岸地区。国立疫病研究所の研究員・羽貫と女性医師の鈴鳴、そして高校生の助手・樽󠄀見が解決に乗り出すが……。
2011年に発表された作品とはいえ、騒然とする医療現場の描写は、いま私たちに起こっている現実そのもの。非常事態宣言、濃厚接触者、隔離措置、エアロゾル化、クラスター感染等、もはや注釈の必要がない言葉が飛び交う内容にクラクラするが、過酷な状況の中でも「知識は……ちゃんと残せば時間を超える」と信じて、今できる「ベストを尽くす」医療従事者たちの姿に背筋が伸びた。余談だが、隅田川花火大会は江戸時代、ペスト被害者たちを弔う目的で始まったということを本作で知った。誰かを想う気持ちは、今も昔も変わらないことに胸が熱くなる。