この恋も、あの恋も。“好き”という感情は、それだけで尊い
高３の春。主人公の一ノ瀬太一は、幼馴染みでリア充スポーツマンの三田桃真、内気な女子・空勢二葉と同じクラスに。ある日、太一は二葉から桃真への恋心を打ち明けられる。太一は、自信のない自分と似た二葉が苦手だったが、“変わりたい”という彼女の言葉に気持ちを動かされ、協力することに。だが、二葉の親友のキツめ女子・伊達真澄が、太一に冷たい態度を見せてきて……。
甘酸っぱい王道青春ラブストーリーが開幕！ と思いきや、その後は連載当時SNSでも話題になったほど、意外な展開を見せていく。少しずつ浮かび上がっていく彼らの恋心。その想いの大きさが、向かう先が、あまりにもせつない。詳しい内容はぜひ読んで体験していただきたいのだが、ぺージをめくるうちに当初“意外”と思った自分の感情そのものが“意外”に思えてくるほど、登場人物たちへ自然と感情移入してしまう。胸の奥が締め付けられる。
人を好きになることって、その感情にふりまわされることも含めて、本来尊いもの。そんなことを思いながら、彼らの心の成長と幸せを願わずにいられない。
“コロナ時代の今こそ読みたいコミック10選”はいかがでしたか？ 夏の気配を肌で感じるこの頃ですが、コミックとともに過ごす「おうち時間」を引き続き楽しみましょうね！
取材・文／中川薫
