大きな吹き抜けに、ぽっかりと箱が空間に浮くユニークな設計。柱の必要な木造ではできない、鉄骨造だからこそ可能な気持ちの良い大空間が実現した。
奥様が育った目黒区内の土地に新築した3階建てのお宅。
建て替えにあたり、いかに光を家全体に取り込むかが一番のポイントだったそう。
「南側にお隣の建物が迫って建っているので、以前の家は特に1階が暗かったです」と奥様。
南側の高い位置に大きな窓を作り、そこからの光を家全体に回すことにした。
この家を設計した稲山貴則さんと、施主は、同じ大学の建築学科の同級生。
「私が勤める会社では、病院や学校、工場、事務所などの建物の設計が中心です。住宅の設計は専門性が高いので、住まいの設計は気心の知れた住宅の専門家、稲山くんにお願いしたいと思っていました」
2階から3階を見上げる。大きな白い吹き抜けの大空間に、四角いバーチ合板の箱がポッカリと浮かび、白い階段がふたつの箱をつなぐ。左右の箱の高さや長さが違うのも楽しい。左側の箱の上部にはロフトもある。
南側の高い窓から、建物全体に明るい光が届く。
ぽっかりと箱が空間に浮くユニークな設計。
ロフトから2階を見下ろす。真下中央に見えるのが1階へと続く階段と、子どもが使っている勉強机。反対側(写真上)にもデスクがあり、ご主人がテレワークの際に使っている。
階段とダイニング床下のスリットが1階とつながり、光が建物全体に行き渡る。
柱の必要な木造ではできない、鉄骨造だからこそ可能な気持ちの良い大空間が実現した。
「地盤の強度にも不安があったこと、そして鉄骨造は木造にはできない思い切ったことができる楽しみもありました。箱を吊り下げて3階を作る、私の想像を超えるプランを考えてくれました」とご主人。
奥様は、子どもたちがリビングを通って子ども部屋に行く動線にしてほしいとリクエスト。
「親が泊まっていくこともありますし、また将来的に同居ができるように、1階に客間を作っていただきました」
「奥まった場所が心地よいのか、よくここで勉強してくれます」
家事をしながら勉強中の子どもと話ができる。
「ここの勉強机からはリビングのTVが見えないので集中できるようです」
トイレの手洗いを外側に。「2階に手洗いがあると、食事の前後など、子どもがこまめに手を洗えます」
リビングとダイニングキッチンの天井の高さを変え、段差もつけている。「家具は以前使っていたものが多いですが、ブルーのL字型のソファはソファ専門店NOYESで購入しました」
「大きな吹き抜けは、家に居ながら開放感があります。1階から2階へ上がる階段、そして3階からロフトへ上がる浮遊感のある階段と、視線が移り変わり、ひとつの家で様々な風景を楽しめます。
コロナで外出できない期間がありましたが、ストレスなく過ごすことができました」
そして、家族が家の中で別々のことをしていても、一体感が感じられるのだそう。
「奥の勉強机で長男が勉強し、手前のデスクでリモートワーク、キッチンで食事の準備をし、長女はリビングのソファで遊ぶなど、2階だけでもそれぞれの居場所がたくさんあるのも良かったと思います」
3階の寝室。奥のサンルームは洗濯物の乾燥にも。
「子どもが小さいのでまだ使っていませんが、3階には子ども部屋として2室準備しています」