今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
死ぬまでの道しるべ
今週のさそり座は、後ろ髪を引かれつつも未来に向き直っていくような星回り。
人間はどうしたって過(あやま)つものだし、どうしたって未練を持ってしまう。ただそうした過ちや未練にいつまでも囚われ、自分を嫌い続けることもまた難しいはずです。
どうしたって自分のことを嫌いになれないからこそ、人は自分と仲直りするために生き続け、そうして人生という旅の果てまで行って、やっと自分を受け入れられるようになっていくのかもしれません。そういう旅には必ずしも目的地は必要ありませんが、逆に道しるべとなるものはその都度必要になってくるでしょう。
例えば「死ぬまでにやりたいことのリスト」もその内容より、中継地点を結んでいくうちに自分自身との仲直りのイメージが浮かんでくることが大切なのではないでしょうか。今週はそうしたイメージととともに、改めて死ぬまでにやりたいことのリストのアップデートを試みてみていきたいところです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
もっと輝いていくために
今週のいて座は、これまでとは異質な考えが噴出してくるような星回り。
遅れてきた古代人・折口信夫は「神」の祖型としての「マレビト」の思想について、「光充つ真昼の海に突き出た大王崎の尽端に立つた時、遥かな波路の果に、わが魂のふるさとのある様な気がしてならなかつた。」(「妣が国へ・常世へ 異郷意識の起伏」『古代研究』)と着想しています。
彼の学問の根底には、そうした本で読んだだけの机上の空論では終わらない、自分なりの仕方でつかみとった実感というものが息づいていました。彼は実際に海の彼方を見つめながら、そこに自身の魂の原郷を嗅ぎ取らんとした訳です。
今週のあなたもまた、今こそみずからの足や手や鼻や耳を通して深い実感を手繰り寄せていけるかが問われていくでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
透明な芽生えとその進展
今週のやぎ座は、不意に新たな生に開かれていくような星回り。
暑さというのは水分だけでなく、人から精緻な感覚さえも奪うものですが、朦朧とする意識において、いかにも日傘の主の存在やゆくえは心もとなく感じられます。「鈴の音のかすかにひびく日傘かな」(飯田蛇笏)という句の作者は、夏の強い日差しが降り注ぐ炎天下のなか、作者にはかすかに響いてきた「鈴の音」だけが救いに感じられたのでしょう。
そして、こうしたことはしばしば人と人との関わりにおいても起きていくはず。特に、弱弱しいことそれ自体の中に、何か特別な、無視しがたい微細さや、透明な芽生えを感じることが。
勝つことや成功すること、正常であり続けることの中では決して経験することのできない、そうした染み入るような有難さや切なさの中で初めて、私たちは絆というものを感じられるのでしょう。あなたもまた、これまでどこか気を張って太く強く引いていた他者との境界線を不意に薄めていくことができるかもしれません。