鮮魚目利きのエキスパート集団「鮮魚の達人」代表の山根さんに、本当においしい魚の食べ方を教わる連載。第2回は、魚料理の基本「塩焼き」のコツをご紹介します。意外なことに、ただ魚に塩を振って焼くだけでは不十分なんだとか!その理由とは……!?
目からウロコ!鮮魚の達人にきく魚のいろは
プロ直伝!魚の「塩焼き」をおいしく仕上げるコツ
Photo by macaroni
ご家庭で魚を塩焼きにするとき、どのように焼いていますか?パラっと塩を振って、じっくり焼いて……一般的な魚の焼き方ですが、実はこの焼き方ではおいしさを120%引き出せていないんだとか!
魚のおいしい食べ方について、鮮魚目利きのエキスパート集団「鮮魚の達人協会」代表・山根博信さんに教わる連載第2回。今回は、おいしい「塩焼き」のコツをご紹介します!
魚は「塩水」でうまみアップ!
今回は、魚の「塩焼き」について教わります!料理名の通り、魚に塩を振って焼くだけの簡単な料理だと思っていましたが……コツなんてあるんですか?
「ただ塩を振るだけではアカ〜ン!プロの料理家が振ればおいしく仕上がりますが、技術がないと塩味が万遍なくしみこまず、味にムラができてしまうんです。正しい塩の振り方は、魚から30cm高いところから、ムラができないように満遍なく、指の隙間から少しずつ散らして……と、意外と難しいんです。パ〜っと塩も散らかってしまいますしね。
塩焼きにするなら、塩水を作って魚をひたす『立て塩』という方法がオススメ。難しい技術や知識がいらず、誰でもおいしく仕上げられますよ。さらに、塩には味付け以外にも大切な役割があるんです」
▶魚のにおいを抑える
塩水に魚をつけると、浸透圧で魚の余分な水分が抜けます。この時、生臭さの原因となる「トリメチルアミン」などの成分が水分と一緒に抜けるのです!
▶キュッと身がしまってうまみアップ!
魚の余分な水分が抜けると、身がキュッとしまってくずれにくくなります。さらに、魚の味の成分であるグルタミン酸が増えてうまみがアップ!食感もうまみも、ぎゅっと密度の高い味わいを楽しめるんです。
塩焼きにぴったりなのは「あら塩」!
塩焼きは、どんな塩を使うかも重要。山根さんによると「ミネラル豊富な岩塩で作るとまろやかな味わいに仕上がりますが、塩焼き用の塩水にはお水の10%量もの塩が必要なので、あまり適しません」とのこと。
山根さんのオススメは「あら塩」。ミネラル豊富なにがりや岩塩が多く含まれているので、味に丸みや深みが付きます。さらに、価格が手頃なので、塩水にたっぷり使いやすいんです。
もっとも身近なテーブル塩にはミネラル分がほとんどふくまれず、塩辛くなりがちなので、避けた方がよいとのこと。
鮮魚の達人直伝!「塩焼き」の下準備
塩水を作って、魚に満遍なく塩をしみこませる方法をご紹介します。基本的な方法は、頭のついた魚も切り身も同じ!
▶用意するもの
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・お好みの魚(今回はマアジを使用しました)
・塩…水の量の10%の分量
・常温の水…魚がひたる程度
・バットなど深さのある器
・キッチンペーパー
マアジは下処理されていないそのままの状態で店頭に並んでいることが多いので、ウロコや内臓取りなどの下処理をするのが難しい場合はお店の担当の人にお願いしましょう。
▶「立て塩」のやり方
1. 塩水を作る
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お鍋やバットなどに10%濃度の塩水を作ります。
2. 魚を塩水にひたす
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①の塩水に、下処理済みの魚をひたします。