日本でもトランスジェンダーに対する見方は徐々に変化していますが、現在のチリの状況を教えてください。
ダニエラ いまは国全体として、すべてのことにおいて移行期。というのも、大統領が変わったばかりで、中絶法も少し前に許可されたくらいだし、男女平等などのジェンダーに関しての法整備というのも非常にゆっくりしているのよ。
だから、LGBTの権利だけでなく、夫婦同等の権利とか、女性と男性の給与格差をなくすとか、そういうことすべてに関して、国としてこれから変わっていくのだと思うわ。
印象的なセリフが多いなか、「困難で人は強くなる」という言葉は、まさにマリーナの生きざまそのものでもあり、心に残るシーンのひとつ。
ご自身も同じように困難を乗り越えて強くなった経験はありますか?
ダニエラ 困難で人は強くなるというのは、私だけでなくてみんなも同じだと思うわ。なぜなら、難しいことがあるから人はみんな成長していくのよ。トランスジェンダーであってもなくても、女性はみんな困難に常に立ち向かっているわよね。だから、できることといえば、視野をどんどん広げて、自分が幸せになるために何をするのかというのを考えることだと思うわ。
ひとそれぞれ困難の乗り越え方は違うものだけど、私の場合は、より幸せになるために何をするかということだけでなく、プロとして自分がどう生きていくかということと、芸術を通して人としてどう成長していくかということ考えているのわ。
最後に日本の観客に向けてメッセージをお願いします。
ダニエラ まずは、みなさんにこの映画を観て頂いて、どうしたら共感や思考の範囲を広げることができるか、というのを考えて欲しいと思っているの。なぜなら、そうすることによって、同時に自由になれるからなのよ。
私はこの映画と一緒に世界中を回り、たくさんの人と会うことができたけど、みんな違う言語を話していても、映画を通すことですごくわかりあえるということがよくわかったわ。つまり、さまざまな動機で人は変革できるんだということに気がついたの。この映画は私にとっては多くの可能性を開いてくれたし、芸術的にも自分のなかにたくさん贈り物をくれた作品だから、参加することができていまはとても幸せに感じているわ。
ありのままで生きることの美しさを感じる!
愛する人を失う悲しみや困難を乗り越えようとするマリーナの姿に共感し、心をつかまれる本作。人生において、どんな “向かい風” が吹いたとしても、そこに立ち向かう強さは誰のなかにもあるものだと教えてくれるはず。あなたのなかにも自然とこみ上げてくる思いを感じてみて。
胸が熱くなる予告編はこちら!
作品情報
『ナチュラルウーマン』
2月24日(土)、シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開
配給:アルバトロス・フィルム
©2017 ASESORIAS Y PRODUCCIONES FABULA LIMITADA; PARTICIPANT PANAMERICA, LCC; KOMPLIZEN FILM GMBH; SETEMBRO CINE, SLU; AND LELIO Y MAZA LIMITADA