いろいろな子どもを見ていくなかで、鳳羅くんを選んだ決め手は?
五十嵐さん 鳳羅くんは、基本的にめちゃくちゃなんですよ(笑)。というのも、人間の感情が全部表に出ちゃうような子なんです。でも、人に対して愛情がある子で、本当にセンシティブで感性が豊かだし、それを全部外に出すことができるというのが一番の魅力かなと思います。全然コントロールが効かないところもありますけど、それがまた人間という感じがして魅力ですね。
鳳羅くんは自分の意志がすごく強い子なので、自分のアイディアでやったりすることもありました。ただ言われたことだけをやるんじゃなくて、こっちのことを意識しながら自分がやりたいこともやっていたので、そもそも頭がいい子なんですよね。
フランスの子どもとは全然違うと思いますけど、鳳羅くんはどういう印象を持ちましたか?
ダミアンさん 日本の子どもをあまりたくさん知らないので違いはわからないけど、最初に鳳羅くんを見たときにおもしろくて好きだなと思いました。ただ、ちゃんと演じられるかわからなかったので、いろんなテストをしたんですけど、そうしていくうちに「この子と映画を作りたい」と思うようになっていった感じですね。
この作品はドキュメンタリーのようなリアルさもありますが、実際はどのように演出して作っていったのですか?
五十嵐さん 僕たちの間でもすごく話し合っていたので、最初はある程度は僕たちが言ったことをやってもらおうと思っていたんですけど、それはあくまでも僕たち大人が考えていることであって、鳳羅くんはそういう遊びは全然したくないと思っていたりするんですよ。
そうすると、強制的にそれをやらせなきゃいけなくなるので、そうじゃなくて、彼を観察して「そもそも鳳羅くんならこれをやる」ということを話に組み込むようにしたんです。そうやって、道筋だけ作っておいて、あとはカメラの前で自由にさせてあげるようにするようにしていましたね。ときどき鳳羅君の考えていることが理解できないときもありましたけど、そういうことも含めておもしろかったですし、それがこの映画には必要なことだと思いました。
作品にはおふたりの子ども時代を反映している部分もありますか?
ダミアンさん もちろん僕たちの思い出についてもありますけど、友だちとかスタッフの人たちにも「あなたの子ども時代はどうだった?」と聞いて、みんなの話を少しずつミックスしてストーリーを作っていきました。
だから、鳳羅くんのポートレートであり、僕たちみんなの子ども時代のポートレートでもあるんですよ。僕も鳳羅くんみたいなやんちゃなタイプだったから、気持ちはよくわかりました。
鳳羅くんにはどんな大人になって欲しいですか?
五十嵐さん 俳優になりたいと言ったこともありましたけど、タカラトミーの社長になりたいとか、ダンサーになりたいとか、毎回聞くごとに違ったのでまだわからないですね(笑)。でも、本当に鳳羅くんが大好きなので、大人になっても自分のやりたいことをやってもらえたらいいなと思います。
最後に、観客へ向けてメッセージをお願いします。
ダミアンさん この映画のスタイルと鳳羅くんは本当におもしろいと思いますので、ぜひ観てください!
五十嵐さん この映画では、鳳羅くんがずっとひとりで出ていますけど、鳳羅くんとお父さんの関係とかは世代の話でもあるんです。特に僕たち30代半ばというのはちょうど真ん中で、まだ誰かの子どもでもあるし、誰かの親でもあるから両方の気持ちがわかると思うんですよね。なので、自分の小さい頃を思い出したり、自分が親になって子どもに対して思うことだったり、その両方があると思うので、そういう部分を感じてもらえたらうれしいです。
子どもにしかない豊かな感性を味わえる!
唯一無二の存在感で観客の目を引き付ける鳳羅くんの魅力でいっぱいの本作。大人になると失ってしまう感覚を一緒に体感し、自らも新たな冒険へと踏み出してみては?
ほっこりする予告編はこちら!
作品情報
『泳ぎすぎた夜』
4 月 14 日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて公開
配給:コピアポア・フィルム+NOBO
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