目次
目次
【2021年のマネーはディフェンス重視】失業、家賃が払えない etc. 最大のピンチのときに頼れる制度
普段から貯蓄や節約を心掛けていても、このコロナ禍ではどんな事態が起きるかわかりません。どうしてもお金に困ってしまったときのための公的な制度をファイナンシャルプランナーの丸山晴美先生が紹介します。
キャッシングなどのローンに手を出す前に
経済状況に明るい見通しが持てない今年。会社の業績によっては、給与をカットされてしまったり、解雇されてしまったりすることもあるかもしれません。そんな状況に陥り、生活資金に困ったとしても、クレジットカードのキャッシングやリボ払い、消費者金融などには手を出さないようにして。収入のめどが立たないなか、借金をしてしまうと、返済できずにまた借金をすることになり、利子も含めて雪だるま式に借金が増えてしまいます。
まずは、下で紹介する国や自治体などの公的制度を申請しましょう。失業してしまったら失業保険、家賃が払えないときには住宅確保給付金など、苦しい時期を乗り切れるように制度を利用して、その間に新たな仕事を探したり、公営住宅の入居を申し込んだりなど、生活を再セットアップさせましょう。ここで紹介したもの以外にも公的な支援はさまざまあります。市区町村などに問い合わせてみてください。
CASE 1:勤めている会社が倒産してしまった……
●未払賃金立替払制度
勤めていた会社が倒産して、未払い賃金がある場合は「未払賃金立替払制度」で請求しましょう。賃金や退職金など(ボーナスは含まない)が2万円以上未払いになっている場合、最大で80%を「労働者健康安全機構」が会社に代わって支払ってくれます。正社員だけでなく、パート勤務の方も申請可能です。退職日から6カ月前の賃金までさかのぼって請求することが可能。ただし、倒産から2年以内に申請する必要があります。また、立て替え払いの対象になる未払賃金総額には上限があります。
CASE 2:リストラで失業した
●失業保険
離職後、次の仕事を始めるまでに一定の条件を満たせば、雇用保険から「失業給付」がもらえます。就職する意思があり、積極的に就職活動をしていることが前提です。受給日数は退職理由(会社都合か自己都合か)や雇用保険の加入期間で決まり、会社都合なら自己都合より最大180日多くなることも。退職理由がどちらなのかは離職票に記載されますが、最終的にはハローワークの判断なので、明確にしておきましょう。
●再就職手当
雇用保険受給資格者が受給資格の決定を受けたあとに、ハローワークの失業給付の給付日数を一定以上残して再就職した場合に支給されます。給付残日数が多いほど(早く再就職するほど)もらえる額も増えます。ただし、再就職先で1年以上働くことが確実であることが条件。また、自己都合の場合、給付制限期間の最初の1カ月以内に決まったときの給付は、ハローワークなど特定の紹介機関を介して就職した場合に限られます。
●就業促進定着手当
再就職手当の支給を受けており、再就職先に6カ月以上雇用されかつ雇用保険に加入していて、再就職先での6カ月間の賃金が離職前の賃金よりも低い場合に、基本手当の支給残日数の40%(再就職手当の給付率が70%の場合は、30%)を上限として、低下した賃金の6カ月分を支給するものです。申請期間は、再就職した日から6カ月経過した日の翌日から2カ月間。再就職手当の支給を受けたハローワーク宛てに申請します。
CASE 3:コロナ禍で収入が減ってしまった
●総合支援資金
新型コロナウイルスにより、生計を維持するための資金が必要になった場合に、無利子、保証人不要でお金を借りることができる制度で、主に失業して生活の立て直しが必要な人が対象。2人以上の世帯では月20万円以内、単身世帯は月15万円以内の貸し付けを、原則3カ月以内の期間受けることが可能。返済期間は10年以内。原則として生活の立て直しに向けた相談支援(自立相談支援機関による)を利用することが、貸し付けの要件になっています。
●緊急小口資金
新型コロナウイルスにより収入が減少し、生計を維持するための資金が必要になった場合に、無利子でお金を借りることができる制度です。金額は基本的に10万円以内ですが、要件を満たす世帯の場合、特例として無利子、保証人不要で20万円以内の貸し付けを受けることができます。2年以内に返済することが条件ですが、例外として、大きな災害の被災、傷病などやむを得ない事情で返済が難しくなった場合は、償還(返済)の猶予や免除を申請できます。
CASE 4:失業して家賃が払えない
●住宅確保給付金
休業や失業で家賃が払えなくなった場合に受けられる給付金で、自治体が原則3カ月(最長9カ月)分の家賃を家主に支払ってくれて、返済の必要もないという制度。以前からあった制度ですが、コロナ禍の状況に合わせて利用しやすく変更されました。失業だけでなく、勤め先が休業になって収入が激減した場合、フリーランスや自営業者で収入が激減してしまった場合なども対象になります。