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「知的女子」はチェック済み♡教養が深まる展覧会がおすすめ

現在、国立西洋美術館では「ミケランジェロと理想の身体」が開催されています。「神のごとき」と称えられた芸術家、ミケランジェロの大理石彫刻作品を、360度、全方向から堪能することができるチャンス。2点の作品の見どころと数奇な運命をご紹介します。

カルチャー

ミケランジェロの傑作2点が500年ぶりに日本で再会

「神のごとき」と称えられた芸術家、ミケランジェロ。彼の大理石彫刻は世界に約40点しか現存していないのですが、そのうちの2点が今回来日しています。1点はミケランジェロ20代の傑作《若き洗礼者ヨハネ》、もう1点は、壮年期50代の傑作《ダヴィデ=アポロ》です。

これらは、かつて同じ人物が所蔵していた作品で、再会するのは500年ぶり。しかも、この2点が並べて展示されるのは世界初で、とても貴重な展示です。

また、初期の作品《若き洗礼者ヨハネ》は、20世紀前半スペインの内戦で破損し、2013年に修復が完了したばかり。イタリアとスペインで2度、一定期間しか公開されていない貴重な展示が日本で実現しました。

残った40%の部分から、在りし日の姿が復活《若き洗礼者ヨハネ》

こちらはミケランジェロが20代の時に制作した《若き洗礼者ヨハネ》。当時、古代ギリシャ・ローマ時代の彫刻に見られる片足に重心をのせリラックスした「コントラポスト」と言われる姿が理想とされていました。まっすぐに立っているポーズではなく、重心を片側に寄せたポーズを彫刻するのはバランスを取るのに高度な技術が必要でした。そんなコントラポストをミケランジェロは20代で自分のものにしています。このことから、ミケランジェロが20代にして古代の理想美にはやくも到達したといわれる作品です。

この彫刻は20世紀前半、スペインの内戦で粉々に破壊されました。瓦礫から14個の断片を回収しましたが、破損の激しい断片や見つからない部分もあり、現存したのはたった40%ほど。そこから長い時間を掛けて修復され、在りし日の姿がよみがえりました。
欠損部は合成素材で補完。各パーツはマグネットで接合されています。それは、新たな断片がみつかった時に差し替えができるようにするためです。近くで作品を見ると亀裂のあとが確認できます。
また、頭部の黒い部分は、黒こげになったあとで、内戦の激しさを感じさせます。

(写真上)《若き洗礼者ヨハネ》ミケランジェロ・ブオナローティ 1495〜1496年 ウベダ、エル・サルバドル聖堂、ハエン(スペイン)、エル・サルバドル聖堂財団法人蔵 高さ130cm 大理石
(写真下左)《若き洗礼者ヨハネ》(部分)
(写真下右)《若き洗礼者ヨハネ》(部分)

テーマはだれなのか、未完か完成なのか謎多き作品

こちらは、洗礼者ヨハネの彫刻から約35年後、50代半ばに制作された《ダヴィデ=アポロ》。ミケランジェロがフィレンツェからローマに拠点を移したとき、製作途中のままフィレンツェに残されたため未完成となったといわれている謎多き作品です。

たとえば、主題やタイトルもはっきりとは分かっていません。主題は、聖書の英雄ダヴィデか、ギリシア神話の神アポロのいずれかと言われており、タイトルはその2人の名前をとって《ダヴィデ=アポロ》と呼ばれることが多いそうです。

また製作途中と考えられているのは、表面がなめらかに仕上がっておらず、随所にノミの跡がみられるため。耳の横にクロスした腕の部分は筋肉のつき方が伝わってくるのに対し、足の指先は大まかなかたちを切り出しただけのように感じられます。これらのノミのあとや、作業の進め方から、ミケランジェロの彫像制作の過程を想像するのも楽しみ方の一つです。

(写真上)《ダヴィデ=アポロ》 ミケランジェロ・ブオナローティ 1530年頃 フィレンツェ、バルジェッロ国立美術館蔵 高さ147cm 大理石
(写真下左)《ダヴィデ=アポロ》(部分)
(写真下右)《ダヴィデ=アポロ》(部分)

彫刻家であることにこだわったミケランジェロ

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