仕事や育児、家事と多くのタスクに追われ、日々の生活で疲弊している方もいるのではないでしょうか。でもその家事、本当なら「やらなくてもいい家事」かもしれません。家電なども進化し生活も変化してきた今、もうする必要のない家事について片づけアドバイザーの石阪京子さんに伺いました。
洗濯物は干さなくていい
――書籍『人生が輝く!家事の「しないこと」リスト』では、「しなくてもいい家事」に時間を取られて疲弊している方をたくさん見てきたとおっしゃっています。実際に石阪さんがやらなくてもいいと思う家事はなんでしょうか?
私は洗濯物は干していません。我が家は洗濯物の汚れ物を入れるところが2つに別れていて、乾燥まで回していいものと、ドライコースで洗うものに分けて家族に入れてもらっています。毎日の洗濯物の大半は、洗濯機で洗濯から乾燥まで行っています。
乾いたものは家族の分を分けて、自分の部屋に持っていってもらうだけ。この中からたたまずに着るのも、洋服をハンガーにかけるのもあなたの自由にしてと伝えています。
子どもが幼稚園のときには、ハンカチのアイロンかけから教えていました。息子はアイロンがけが私より上手です。高校生の頃には、バイト用のコック服にまで、自分で丁寧にアイロンをかけていました(笑)。
自分の服は、シワがいやなら自分でアイロンをかければいいし、気にならないならそのままで着るなど、自由でいいと思っています。
いずれにしても、今の時代、洗濯物は洗濯機に乾燥まで任せていいし、家事は家族で分担できる家事だと思います。
――服などはシワになりませんか?
日立のドラム式洗濯乾燥機ビッグドラムには風アイロンという機能があるので多少のシワはなくなります。シワになりやすい服などはドライコースなどで洗濯してハンガーにかけて乾かすので気にならないですし、タオルや靴下、パジャマなどのシワは特に気にならないですよね。
たまにシーツはシワになるのがイヤだという方もいますが、シーツや食器拭きのふきんがシワになってもそんなに大きな問題ではないと思うんですよ。ハンカチのシワが気になるならタオルハンカチにすればいいとか、夫のシャツは形状記憶のものにするなど、シワにならない素材のものを選ぶというのも一つの方法です。
子どものお下がり服を管理することはもうやめよう
――「お下がりをしない」とありますが、これはどういうことですか?
子ども服のお下がり用の仕分けは大変じゃないですか? 90、100などサイズごとに分けて、サイズごとに保管しておくのはすごく大変ですよね。中には90サイズのコレは着られる、100サイズのコレは着られないなど服によっても違うので、服の仕分けだけで1日潰れることもあります。
例えば入学式の服とか、いいダウンコートなどは残しておいていいと思いますが、日常服はお下がりをやめてファストファションのお店に買いに行ったらいいかと思います。
今は夫婦で仕事をしている方が大半ですし、お下がり服の仕分けにかかる時間を時給で働いたとしたらどうでしょう。その分他の仕事ができたり、身体を休めたり、お子さんのお勉強を見てあげたりするほうが時間を有効に使えるのではないでしょうか。
――長年保管しておかないといけない場所も必要になりますね。
そうですね、自分の労力を考えたときに費用対効果が合わないと思うんですよ。取っておいても、将来子どもも「私コレ着たくない!」と着るかどうかわからないですよね。そうなるとムダな物のために労力と場所を取っていたことになります。
今は服もすごく安く買えます。服が貴重だった昔と今は時代が全然違うから、母親世代がやっていたような、お下がりを大事に取っておいて、孫の代まで取っておくなどはやらなくていいと思うんです。
季節の行事は物がなくても楽しめる!これからはアレンジしていくのが賢い楽しみ方
――他にもしなくていいと思う家事はなんですか?
大きいお雛様やハロウィンなどの季節の行事に関するグッズはかさばってみんな大変そうなので、もっとコンパクトにすればスペースも取らないし労力もかからず楽なのになあと思います。お雛様などは立派なものを田舎からお孫さんのためにと贈られる文化がありますが、やらなくてはいけないと思ってきた日本の“しきたり”みたいなものを自分流にアレンジしてもいいと思います。
私は仕事や介護でとにかく忙しかったときに、年末が大嫌いだったんですよ。クリスマスツリーを出したと思ったらすぐにしまうことになるから、もう飾らないでやめよう、と思ったんです。我が家ではツリーは出さず、クリスマスにはずっとローストチキンを丸ごと焼いてきました。中にごはんなども詰めて。今はお雛様だけはまだ私が飾っていますけれど、娘には渡さないでおこうと思っています。
このようにクリスマスにはクリスマスツリーを出さなくてもローストチキンを出したり、ポインセチアをその時期だけ飾ったりするなど、物がなくても楽しめる行事に変えていくというのが、これからのイベントの楽しみ方かなと思います。インスタなどSNSを見ると焦ったりする方もいらっしゃるかもしれませんが、食べ物は消え物だから保管するスペースも必要もありません。見栄えのいい料理で、華やかな食卓にするだけでも行事は楽しめますよ。
行事のたびに「早くあれを飾らなきゃ」と気が重くなっている方にとっては、食べ物で食卓を華やかにする方法は参考になりますね。それぞれのご家庭に合った方法で、行事も楽しんでいけたらいいですね。
『これが最後の片づけ!』
著者:石阪京子
出版社 : ダイヤモンド社
教えてくださったのは……片づけアドバイザー 石阪京子さん
片づけアドバイザー。宅地建物取引士。JADPメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。
大阪で夫と不動産会社を起業、夢のマイホームを手に入れても片づかないことで理想の暮らしができないと諦めている多くの人に出会う。
自分にできることはないかと女性目線での建築設計、引っ越し後のアフターフォローとして家の片づけを提案。独自のメソッドは一度片づけをしたらリバウンドしないのが特徴で、これまで様々な片づけ方法を試したり、プロに頼んではリバウンドを繰り返してきた人たちの「最後の駆け込み寺」となっている。同メソッドで片付けに成功した人は1000人にのぼる。
現在は収納監修、片づけレッスンほか、北海道、東京、大阪、名古屋、広島、福岡など各地でのトークイベントやオンラインセミナーを開催。多くの女性に暮らしの整え方についてのアドバイスを行っている。著書は最新刊『これが最後の片づけ!』(ダイヤモンド社)のほか、『一生リバウンドしない奇跡の3日片づけ』『夢をかなえる7割収納』『家事のしないことリスト』など多数。