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[手放し・失う]という"リセットボタン"が40代女性を豊かにしてくれる理由

ライフスタイル

40代女性は、ライフステージが大きく変化しているように感じる人が多いようです。それは、失うものが増えるというステージなのかも知れません。もしくは、積極的に何かを手放したくなる時期なのかも知れません。今回は、40代女性が手放し・失うということについて考えてみました。

獲得するステージから厳選するステージへ

30代までの人生の前半は、一般的に「何かを獲得すること」に力を注ぐことが多いように思います。それは生きていくための知識であったり、仕事に役立つ資格かも知れないし、服や靴といった物質であったり、恋愛や人間関係のテクニックかも知れません。獲得したものは生活や仕事の礎を築く役割を果たし、成長を促してくれる大切なツールであったように私自身も感じています。何かを獲得すること・アイテムを増やすことに大きな意味がありました。

それに対して40代は…これは個人的な感覚なのですが、多くのものを抱えること・獲得することへの興味が薄れていくように感じています。体力と気力が減退してきたことも要因の一つでしょうが、それ以上に「大切なものだけに時間とエネルギーを注ぎたい」という感覚が芽生えて、両手いっぱいに何かを抱え続けることに違和感を覚えるようになったのです。言い換えるならそれは、「人生に必要なアイテム集める」ことから、「厳選した大切にしたいものだけを抱えていく」段階への移行です。体調や心の変化が大きいこの時期はもしかしたら、リセットボタンを押したり、人生を見つめ直すことに使うための良い機会なのではないかと思うのです。

例えば、人間関係を手放したら

ヨガクラスにいらっしゃる40代半ばのある方は、人間関係をシンプルにしたい!と人間関係の断捨離の真っ最中だと教えてくれました。彼女いわく、いわゆる「お付き合い」的な関係に、もう労力を使いたくないと自然に感じるようになったそうです。

「友達100人出来るかなー」と歌いながら育った昭和世代の私たちは、知らず知らずのうちに友達の数が人徳のある証拠であると思い込んでいたり、友達が多いと自分の価値が高まるような錯覚を持っていることもあるように思います。もちろん若い頃には、多様な人間関係の中で学ぶことが多いものです。社会の中での自分の役割や適性を考えたり、視野を広げるということにも人間関係の広がりは重要だったように思います。そういった時期を経て私たち40代は、人間関係に今までと異なった価値も見出すようになるのかも知れません。そう考えてみるとここから先は、ある意味自分本位に人間関係を築くこともワガママとはいえないのかも…。人間関係を手放すというとなかなか厳しい言葉にも聞こえますが、大切な人をより深く大切にしていくための変化だと捉えることも出来るのかも知れません。

実際にこの話をしてくれた彼女は、人間関係をシンプルにしたことで心の余裕が生まれたと教えてくれました。自分の価値観に合う人間関係を選び、人間関係のわずらわしさや複雑さから離れる。そんなワガママともとられるかもしれない選択を、自分に許す。40代というステージまできたからこそ選べる、人間関係の新しいかたちなのだともいえそうです。

失うことに慣れていく

また40代は、失うことに少しずつ慣れていく時期なのだとも感じています。若さや体力が少しずつ失われていくのを実感する人も多いでしょうし、高齢になっていく家族との死別があったり、女性であれば「女である自分」が薄れていくのを感じることもあるでしょう。そして、手元にあるものが失われていくという自然のサイクルには抗うことは出来ないのだと気が付く。おぼろげには知っていたものの、体感として理解することになります。獲得して失って…というサイクルに虚しさを覚えることもあるかも知れません。

私は最近、これはなかなかよく出来たシステムだと感じているのです。実際この先歩む道は、抗うことも出来ず失うものが増えていくはずなのです。その失うことへのいわば免疫のようなものを、今体感と共に身体に染み込ませているのかも知れないと思うと、それはそれで有難い気さえしてきます。それは、獲得することに重きを置いていた頃には見えなかった新しい世界です。

また、失うことに比例するように精神的な成長を促されているという側面もあるでしょう。執着することの苦しさを理解したり、目の前にある事柄に感謝できることが増えたり、利己的な自分を改めるきっかけになったり…。失うことをただただ怖くて悲しいことだと感じていた若い頃とは異なり、失うことで得るものがある、と思えるようになる。実際に失うことの恩恵はたくさんあって、その体験が豊かさを生み出してくれるのだとも感じるのです。

ライフステージの変化というものは、コントロール出来る部分とそうでない部分があります。動物としてプログラミングされた変化、加齢や死といったプログラムは、当たり前だけれど抗うことは出来ません。そしてその流れは、失うということを含めて、本当に良くできた流れなのだと感じます。

失うという体験は何気ない日常の中になる豊かさに気が付かせてくれるし、大切なものがあぶり出されてシンプルになれる。40代は心や身体の変化が大きく大変な時期なのは間違えありませんが、失うことを怖がらず、抗わず、自然の流れに上手に身を任せていきたいものです。

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