10月6日(土)公開の映画『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』は、「フェルメールの絵画の世界を小説にしたい!」という想いから生まれたベストセラー小説を映画化した作品。既婚女性と禁断の恋に落ちる画家の愛の事件が織りなす物語は、絵画ファンもミステリーファンも夢中になること間違いなしです。
愛を貫くため、すべてを花に賭ける
舞台は「黄金時代」と呼ばれた17世紀オランダ。スペインから独立し経済的な繁栄を極め、人々は投資や収集に熱を上げていました。なかでも2大ブームとなったのは絵画とチューリップ。邸宅に飾る画を収集したり、成功の形として残すために画家に肖像画を書かせたりするとともに、世界最古のバブル経済「チューリップ市場」へ投資を行いました。チューリップ市場は、希少な品種の球根一個が邸宅一軒分に値したといわれるほどで、「チューリップフィーバー」の真っ只中でした。
映画は、修道院で育った孤児のソフィアが親子のように年の離れている裕福なコルネリスと結婚するところから始まります。燃えるような愛はないものの、優しい夫との生活はソフィアにとって初めて味わう豊かで安定した暮らしでした。そんななか、コルネリスが夫婦の肖像画を、無名の画家のヤンに依頼します。キャンバス越しに見つめ合うヤンとソフィアは、そう時間をおかずに恋に落ちます。若く情熱的な画家と、許されない愛を貫きたいと願ったソフィアは、ある計画を思いつきます。しかし、ヤンが2人の未来のために、希少なチューリップの球根に全財産を投資したことから、運命が狂いはじめてしまいます。
フェルメールへのオマージュに満ちたカメラワークが見どころ
本作の見所の一つは、フェルメールへのオマージュに満ちたカメラワーク。「フェルメールの絵画の世界を小説にしたい!」という想いから生まれた原作小説の意思を継いでいることがうかがえます。窓辺で手紙を読む女性、鮮やかなブルーのドレス、女主人と女中の密やかな共犯関係、窓から覗き見するようなアングル、薄暗い室内に差し込む弱い光。フェルメールを連想させるこれらのシーンは、同時にどれも美しく聖性に満ちて見どころの1つとなっています。
絵画から生まれた愛と裏切り
ソフィアには『リリーのすべて』でアカデミー賞を受賞したアリシア・ヴィキャンデル。感謝はあるが愛はない結婚から逃げ出し、禁断の恋へと身を投げようとする女性を大胆かつ繊細に演じています。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」をオマージュした衣装や、フェルメール・ブルーと呼ばれる鮮やかなドレスをまとう姿は、フェルメールファン必見です。
画家のヤンには『アメイジング・スパイダーマン2』のデイン・デハーン。傑出した演技力と存在感で、突き進むだけの無謀な若い恋の切なさと美しさをロマンティックに体現しています。
恋に落ちた既婚女性と無名の画家の、愛と裏切り、そして思いがけない結末を、ぜひスクリーンでお確かめください。
photo / 『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』より - (C)2017 TULIP FEVER FILMS LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』
監督:ジャスティン・チャドウィック
脚本:トム・ストッパード
原作:デボラ・モガー
出演:アリシア・ヴィキャンデル、デイン・デハーン、クリストフ・ヴァルツ、ジュディ・デンチ、カーラ・デルヴィーニュ、ザック・ガリフィアナキス、