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「一生働けば貯金は不要」と言い張る夫。老後や教育費……将来お金は足りる?

家計簿・家計管理アドバイザーのあきです。気の合うお友達にもなかなか相談しにくい「お金のこと」に悩んでいる人はいませんか? 有料相談に申し込むほどではないけど、ちょっと聞いてみたいお金の疑問に、家計簿・家計管理アドバイザーがお答えいたします。今回は、「夫と貯蓄の計画が合わない」というお悩みです。

夫と貯蓄の計画が合わない

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今回のご相談者は、「夫と貯蓄の計画が合わない」と悩んでいるご様子です。ご相談内容を見てみましょう。

40代のパート主婦です。同じく40代の夫と、小学校5年生と3年生の子どもがいる4人家族です。

最近は、子どもも大きくなってきて、塾などの費用もかかるようになってきたため教育費の負担が増えてきていると感じています。子どもの将来のために貯蓄をしておいた方がいいのではないかと思っているのですが、夫は、お金のことにあまり関心がありません。
「節約して貯金をしよう」と声をかけても、「夫婦で一生働けば収入には困らないのだから貯蓄はする必要がない」の一点張りです。
確かに、今は窮屈な生活をしているわけでないですし、半年分の生活費くらいの貯金もあるので、今と同じ収入が続けばそれほど貯蓄は必要ないかもしれません。
しかし将来の保証はどこにもなく、本当にこのまま貯蓄をしなくていいのか不安です。
私は少しずつでも貯蓄を始めたいと思っていますが、夫と貯蓄の計画が合わない時はどうすればよいでしょうか。

貯蓄は必要ない?

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お子さんが大きくなり少しずつ教育費の負担が増えるようになると、将来の教育費のためにもっと貯蓄をした方が良いのではないかと考える人も多いでしょう。

教育費に加えて老後の資金も必要と考えると、生涯にわたって貯蓄が必要と考える人もいる一方、定年後も仕事を持てば貯蓄はそれほど必要ないのでは? と考える人もいます。

今回の投稿者のママは、「貯蓄をした方がよいのではないか」と感じているようですが、旦那さんが「一生働けば貯蓄は必要ない」と考えているため、夫婦で貯蓄の計画が合わないことに悩んでいるようです。

このような時にはどうしていけばよいのか一緒に考えてみましょう。

1 教育費の増加に耐えられるか考える

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まず、お子さんの教育費について考えてみましょう。

お子さんは二人とも現在小学生ということですから、中学、高校、大学と教育費が増えていくのはこれからです。仮に中学校、高校までは公立、大学のみ私立として考えてみましょう。

まず、私立大学の学費は、文部科学省の「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によれば、135万7,080円(授業料93万943円、入学金(初年度)24万5,951円 施設整備費18万186円)です。

私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について

入学金を初年度のみとし、大学2年生から4年生の費用を111万1,129円と考えると、私立大学に進学した場合、4年間で469万467円が必要になります。

実際には、理系文系など、選択する学部などによって学費には差がありますが、仮にこれを大学の費用の平均値と考えると、今回の投稿者のママにはお子さんが2人いらっしゃいますから、約938万円が必要ということになります。

教育費の貯蓄がない状況でやりくりすると考えた場合、毎年分割で支払うことになりますが、1人分の学費でも年間111万円~135万円ほどが必要になります。

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投稿者のママのお子さんは2学年差ですから、2年間は2人分の大学の費用として年間222万円~246万円が必要になります。月額にして約20万円ほどになりますが、こちらは現在の収入から賄えそうでしょうか。

現在月20万円の貯蓄ができていない場合は、奨学金や教育ローン、お子さんのアルバイト収入などを利用することになりますが、仮に平均額通りであっても総額938万円と大変高額になります。

お子さん2人が大学生になるまでには、収入が今より月20万円上がる予定がある。または大学の学費はお子さんのアルバイト収入や奨学金で賄い、社会人になってからお子さんが奨学金の返済するという計画である場合などは、両親に貯蓄がなくても問題ないかもしれません。しかし本当に収入の増加が当てにできるのか、ご夫婦ともにお子さんに大学の費用を負担してもらう計画なのかは話し合っておきましょう。

※所得などの条件により奨学金や教育ローンは借りられない場合もあります。

2 老後の生活をイメージする

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続いて、考えてほしいのは老後の生活です。

記憶にまだ新しい「老後2,000万円問題」ですが、老後2,000万円の資金が必要になるとされた計算の根拠は「2017年の家計調査(総務省)」にあります。

高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の実収入が209,198円に対し、実支出は263,717円となっており、54,519円の赤字となっていたため、月約5.5万円の赤字×30年=1,980万円、約2,000万円の赤字となっていたわけです。

実は、この2021年の同調査では、実支出237,988円、実支出260,094円となっており、22,106円の赤字となっており、同様に計算した30年間の赤字額は795万8,160円と、大きく差が出ており、あまりあてになりません。

そのため、平均額から老後資金を考えるよりも、ご自分の年金額をもとに、年金以下の支出にすることが可能なのかを考える方が有益と考えます。

年金定期便などを参考に、老後、年金だけの生活になっても赤字が出ないような家計設計が可能か考えてみましょう。住宅ローンなどが残っていると、生活費に使える年金が大きく減ってしまいますから気をつけましょう。

老後にゆとりある生活は望んでおらず、年金生活になっても赤字が出なそうということなら、老後のための貯蓄はそれほど必要ないこともあります。

参考:総務省統計局|家計調査年報(家計収支編)平成29年(2017年)Ⅱ 世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)、家計調査2021年(高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別

家計調査年報(家計収支編)平成29年(2017年)Ⅱ 世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)
家計調査
2021年(高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別
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