腸と脳には深い関係があり、腸内環境を整えるには脳からのアプローチも重要なポイント。そこで、最新の研究内容を基に腸の働きを活性化させる方法を、医師であり、ヨガインストラクターの石井先生に教えてもらいました。
腸と脳は「脳腸細菌相関」によってお互いに影響し合う
「腸の働きは、自律神経によってコントロールされています。副交感神経が優位に働くリラックス時は、消化を助ける消化液の分泌や便通を促す蠕動運動が活発になります。反対に、ストレスフルで交感神経が強く働くと、腸の働きが停滞。便秘や下痢を招きやすくなります」と石井先生。
また、腸と脳には「脳腸細菌相関」と呼ばれる密接な関係があり、お互いに影響し合っているそう。
「たとえば、脳がストレスを感じると自律神経を介して、その刺激が腸に伝わり、腸の働きを抑制。腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が増え、腸の免疫機能を低下させます。腸には人間の体の免疫細胞の約7割が集まるといわれ、病気から体を守ってくれています。腸の免疫力を維持するためにも、脳腸細菌相関を健全に保つことが大切ですね」
腸の蠕動運動を活性化する朝の後屈&ツイストの筋膜ヨガ
お腹を引き締めて背筋を伸ばしてから、右の体側にねじって縮め、前屈か後屈を行うのが筋膜ヨガ。朝は後屈系ポーズで交感神経を刺激!ポーズを行った時間の1割(10分なら1分)の時間は、シャヴァーサナを行いましょう。時間があれば太陽礼拝の後に行うとベストです。
◎ポーズを行うときは、必ず右の体側が縮む側から行うこと!
腸内の便は蠕動運動によって右から左へ移動し、体の左側のS字結腸から肛門へ便として押し出される。この動きに合わせて、右の体側から縮めると便通がスムーズに。
後屈ポーズのシークエンス
筋膜をゆるめ、筋膜下の自律神経を活性化
腸の動きを良くするには、まず始めに交感神経を高めることが大事。背骨を伸ばす→ねじる→後屈の順に動いて筋膜をゆるめ、筋膜の下の自律神経を活性化。先に高めた反動で、交感神経が落ち着き、副交感神経が優位に。
1. 胸を開いて交感神経のスイッチON【コブラのポーズ】
うつ伏せになり、脚を腰幅に開く。両手を胸の横につき、肩甲骨を下げて胸を床から上げる。
photo by Kenji Yamada
両手で床を押し、上半身を持ち上げる。恥骨は床につけ、恥骨をおへそに引き込むようにして背骨を伸ばす。
photo by Kenji Yamada
右手が腰骨のあたりまでくるように両手を右へ動かす。できるだけ上半身を右側にねじり、右の体側を縮め、上体を反らせキープ。
〈3呼吸〉
photo by Kenji Yamada
両手、上半身を元の位置に戻す。反対側も同様に行う。左の体側をできるだけ縮めて。
〈3呼吸〉
photo by Kenji Yamada
2. 手脚を伸ばし全身の筋膜をゆるめる【バッタのポーズ】
うつ伏せになり、脚を腰幅に開く。両手と両脚を床から持ち上げ、おへそを内側に引き入れて背骨を伸ばす。
photo by Kenji Yamada
左肘を曲げて前腕を床に下ろし、左手を胸の前に。上半身をできるだけ右側へねじり、右の体側を縮め、できるだけ上体を反らせキープ。
〈3呼吸〉
photo by Kenji Yamada
体を正面に向けて手を替え、右手を胸の前に。上半身をできるだけ左側へねじり、左の体側を縮め、できるだけ上体を反らせキープ。
〈3呼吸〉
photo by Kenji Yamada