今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
大地に還るべく
今週のかに座は、どす黒い泥の中からこそ白く美しい花が咲くという教えに、立ち返っていくような星回り。
腐敗していく自分のセルフポートレートを撮り続けていた、「前衛の女王」とも呼ばれるシンディー・シャーマン。恐怖、病、死といったネガティブな観念を、自己像の解体過程と見事に結びつけていきました。
シャーマンのセルフポートレイトは、権力関係においていかに人間の不愉快な側面が排除され、作品の評価が歪んでしまうかということをえぐり出しているのだとも言えます。
あなたもまた、「見る/見られる」関係のなかで夢見られたユートピアから泥にまみれたリアルへとまなざしを引き戻していくべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
確かさを与えてくれるもの
今週のしし座は、みずからの言動を駆動させる原動力に繋がり直していくような星回り。
『蝉しぐれ届かぬ眼窩の奥の奥』(宇多喜代子)は、前書きに「写真集『被爆』五句」と記されたうちの一句。
「眼窩の奥の奥」とはおそらく現在とは断絶した過去にのみ生きている死者であり、その中にはその後訪れた平和を知ることなく、いまだ戦時のただ中にある者も含まれていたのではないでしょうか。
あなたもまた、自分が感動したり、思わず突き動かされてしまうその背景の部分に、改めて思いを馳せてみるといいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
夢を継ぐ
今週のおとめ座は、土地の見る夢と接続していこうとするような星回り。
宗教学者の中沢新一は、代田橋について綴った短い文章のなかで「自分の身体が健康だった頃の記憶をなくしていないで、その記憶を頼りに夢を見ながら、現実を乗り越えようとしているようにさえ見える」という理由から、この町を「けなげな町」と評しました。
参道はまっぷたつにぶち切られてしまったものの、毎年行われる神社の例祭ではその参道を一時的に復活させることで、近代の開発のもたらした傷や断絶を修復し続けているのです。
あなたもまた、そうした「けなげさ」や「やさしさ」をできるだけ取り戻していきたいところ。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
共同体的な制作へ
今週のてんびん座は、精神を研ぎ澄ませて応えるべき波長や声に応えていこうとするような星回り。
『水音と虫の音と我が心音と』(西村和子)という句のごとし。「音」という字が三度も使われていますが、すべて異なる読み方がされるようになっており、作者によってはっきりと聞き分けられていることを示しています。
祈りとは、単なる願いや望みとは違って、その実現に際して、みずからその代償を負いたいという意志の現れ。その意味で、掲句もまた一つの祈りの声なのだと言えるでしょう。
あなたもまた、自分の心音と重ねるべき「おと」や「ねいろ」をみずからの意志で選り分けていくべし。