今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
息の転換の道
今週のさそり座は、価値ある特別さを安易な“分かりやすさ”で塗り潰してしまわないよう、注意して扱っていくような星回り。
生の喪失と痛みを秘めたパウル・ツェランの詩には、しばしば硬質な隠喩が登場してきます。日常と硬く対立したところで構築された隠喩やその訳語は、この国の詩と柔らかさとのうんざりするような低調な同一視とも一線を画していることがわかるはず。
異なる体験の質によって書かれたことばを、無理やり手馴れた日本語の言語世界の範囲内に押し込めようとすれば、その本来の魅力や詩としての真正さは失われてしまうでしょう。
あなたもまた、ことばの軽々しく、まずしい使用に反旗をひるがえしていくべし。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
社会を抜けた先にあるもの
今週のいて座は、「社会」の外側に「世界」が広がっているということに改めてハッとさせられるような星回り。
『平日の浜辺秋の来てゐたり』(矢口晃)という句のごとし。
この句は「社会」の内部での生きづらさに押し出されてしまった挙句、「もうおわった」と不安と抑うつですっかり身の回りの色を失ってしまっていた者のもとに、さざ波のように鮮やかな景色が打ち寄せ、生き返ったときの情景とも言えるのではないでしょうか。
あなたもまた、社会の覆いを突き抜けたところにある生きた実感をあずかり受けていきたいところです。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
退屈の効用
今週のやぎ座は、夢を大きく膨らませていく時間をきちんと確保していこうとするような星回り。
かつて澁澤龍彦は『快楽主義の哲学』というエッセイのなかで、「死の克服と同じくらいむつかしいのが、退屈の克服だ。(…)平凡な時間の連続のなかに、キラッと光るような瞬間がある。こいつを大事にしなければならない」と書いていました。
焦って早く花火を打ち上げようとするのではなく、「静かな、あいまいな、薄ぼんやりとした」沼にはまって、あれがしたいこれがしたいと自分を駆り立てる夢を大きく膨らませることが、打ち上げのためのエネルギーとなっていくのではないでしょうか。
あなたもまた、そう遠くないうちにやってくる快楽的瞬間を見据えて、あえて薄ぼんやりと過ごすこともよしとするべし。