今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
一回お休み
今週のかに座は、休むべくして休んでいくような星回り。
『萩に雨こんな日もなければ困る』(中原道夫)という句のごとし。ともすると慌ただしく年月を早送りしがちな現代人には、いやそもそも人間が人間らしく一生を送るには、「こんな日もなければ困る」のです。
そんな冒頭の歯切れのいい前五とは対照的な、句またがりで綴られた独白には、思わずうなずく人も多いのではないでしょうか。
あなたもまた、前のめりに進むばかりではなく、たまには立ち止まったり、後ろをふりかえったりする時間をゆっくり確保してみるべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
切断を繰り返してどうする
今週のしし座は、なんとなく分かっていながら実行していた「意志すること」の弊害を、改めて受け止めていこうとするような星回り。
哲学者のハイデッガーは、「意志」という概念に対する批判的な指摘を3つしています。まずは「意志することは始まりであろうとすることである」ということ、そして「意志することは忘れようとすることである」、第三の指摘に至っては「意志することは憎むことである」と言ってしまう。
「意志」とはこうした過去を憎み、過去へ復讐せんとする気持ちの裏返しとしての「過去の切断」に他ならず、ハイデッガーはそれとは別に、現在・過去・未来を自分で引き受けることを「覚悟」と呼んでいきます。
あなたもまた、どうしたら「意志」ではなく「覚悟」を発動していけるかどうかということが問われていくでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
神秘は目の前に
今週のおとめ座は、おのれのまなざしを冷ややかな青い月光と同一化していくような星回り。
『月光が釘ざらざらと吐き出しぬ』(八田木枯)という句のごとし。
自由自在な幻想で一時的にであれ身体性から解き放たれてありながらも、こうして実存的な不快や不安を無視することなくジッと見つめ続ける冷徹さこそが、おそらく掲句のなまなましい描写を後ろ支えしているのでしょう。
あなたもまた、いつも以上に自身の内面を生々しく捉え、表現していくことができるはず。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
出せるものは出していこう
今週のてんびん座は、これまでなんとなく受動的にさせられていたことを、どうにか主体化していこうとするような星回り。
「見られる芸能」から「見せる芸能」への大きな転換点の一つが、能を集大成した世阿弥だったのではないでしょうか。
世阿弥は「能舞台」という装置を発明することで、舞台の上で芸能者が舞い、それを下にいる観客たちに「見せる」という関係へと逆転させてしまった訳です。
あなたもまた、おだてられていい気になったり軽視されてカッとなったりするのとは逆の動きしていくことで、つとめて老獪(ろうかい)に立ち回っていくべし。