わたしだけの彩り
実は2人の定位置はギャラリーから見える小窓の奥。
アトリエスペースになっているということで、特別にお邪魔させていただきました。
アトリエの窓には、古典技法である絵付けを取り入れて制作された、大きなステンドグラスが飾られています。
「ステンドグラスの“ステンド”は“ステイン”=汚すという意味からきています。厳密にはガラスの上に色をのせたり、線を描いたり、絵付けをほどこしたものをステンドグラスというんですよ」
矢口さんがステンドグラスの学校で制作した作品は、絵画のような繊細なデザイン。オーストラリアのワイルドフラワーをモチーフに、絵付けがほどこされています。
ここで、ステンドグラスならではの道具をすこし見せていただくことに。
ステンドグラス用の色ガラスは日本では製造されていないそう。すべてアメリカ、ヨーロッパからの輸入品です。色数は無数にあるものの、ガラスの溶け具合でさらに色が変化するため、完成形を計算しながら選んでいきます。
ガラスを焼く電気炉は矢口さんのお気に入りの道具。一度中にガラスを入れたら最低でも10時間は開けることができません。「待つ時間」も制作のたのしみのひとつ。
ガラスを溶接するためのハンダゴテと銅テープ。ステンドグラス制作には欠かせない道具です。
ガラスを切ったり、貼ったり、溶かしたり。細かい作業がつづく中で、いちばん好きな瞬間を聞いてみました。
「電気炉からあがって完成したときですね。色ガラスは1枚でもキレイだけれど、隣にどんな色を合わせるかでガラッと印象が変わるんですよ」と矢口さん。
「平面から立体になったときの、ハッとするような美しさに毎回おどろかされます。イメージしていた通りの色でうれしいときもありますし、意外な色に仕上がるときもおもしろい」と真野さん。
つくり手のセンスと、ガラスの溶け具合による偶然とによって生まれるステンドグラスはどれもまさに一点ものです。
ステンドグラスのある生活
nidoではご自宅や公共の施設に向けた、ランプやパネルの受注制作も行なっています。いつもの空間に一点、ステンドグラスをプラスするだけで、癒しの雰囲気が漂うそう。
「ガラスの魅力は色あせないこと、ステンドグラスの魅力は1日中、光とともにたのしめることです。朝の自然光から、夜のお部屋の明かりまで、異なる表情をたのしむことができますよ」と矢口さん。
お部屋のコーナーや狭い空間にステンドグラスを添えて、影をたのしむのもおすすめだそうです。
「ステンドグラスはそのものだけでなく、空間までつくってくれるというのも魅力ですね」と真野さん。
「いつか、最初にステンドグラスに出会ったフランスで展示をするのが夢なんです」と語る2人。すでにファンを多く抱えるnidoの夢が叶う日はそう遠くないに違いありません。
nidoでは作品販売の他に、端ガラスを使ったステンドグラスのワークショップも毎月開催されています。ペンダントライトやミラー、キャンドルホルダーなどを制作することができます。みなさんもギャラリーに足を運んで、またはアトリエのワークショップに参加をして、毎日の暮らしにぜひ、ステンドグラスを取り入れてみてはいかがでしょうか。