ものが少なく、すっきりとしたリビング。澄んだ空気が流れていそうな、ミニマリストの岩城真由美さんのご自宅です。かつてはたくさんのものがありましたが、ご家族と共に理想を明確にし、少数精鋭の無印良品アイテムに囲まれた暮らしを実現したそう。ものを減らすことができた経緯や、今も心がける3つのルールを伺いました。
自分に合った物量とは?しっかり考えたことでミニマリストに
マンションの3LDKの部屋に、旦那さんと1人のお子さん、チワワのゆずちゃんと暮らすミニマリストの岩城真由美さん。ご自宅では無印良品のシンプルな家具を集め、こんなすっきりとした空間を作られています。
岩城さんの本業はヨガインストラクター。さらに、空間や思考の整理をサポートするライフオーガナイザーと、整理収納アドバイザーの資格も持ち、現在は「ここからくらし」の名前で人々の心と体と暮らしを整える活動を行っています。
そう聞くと、体調管理もしっかりしていて健やか、かつ部屋も整った完璧な人…!と感じる方が多いかもしれません。ですが、岩城さんも以前は「片づけは好きなはずなのになぜかうまくいかない」と悩んでいたのだとか。
その頃はたくさんのものを持っていた岩城さん。それを手放すきっかけとなったのは、ミニマリストのやまぐちせいこさんの本『少ない物ですっきり暮らす』(ワニブックス)でした。読んでいるうちに、そのときに持っているものの量が、自分に合った物量ではないのだと気づくことができたのです。
ミニマリスト・岩城さんが実践。自然とものが減らせる3ルール
1. 大きなものから早めに手放す
ものが多いほど管理が大変というのはわかっていても、なかなか手放せないという人が多いもの。ところが岩城さんは、大きな家具を早めの段階で手放すことができたというから驚きです。最初にお別れしたのは、写真にある3シーターのレザーソファでした。
その後押しになったのは、ご自身も学んで資格を取得されたライフオーガナイズの考え方です。ライフオーガナイズでは、どのように暮らしていきたいかをじっくり考え、優先順位をつけて価値観を明確にすることが重視されています。
部屋を片づけていくにも、ものを捨てたり収納場所を増やしたりするよりも、まずどんな部屋にしたいのか具体的な目標を定めるのが第一歩。それを実現するために、どんな順で作業を進めるか計画を立ててから着手します。
岩城さんは、旦那さんと部屋の理想のイメージを伝えあい、共通の価値観をはっきりさせました。
・家具は、オーク材のシンプルなもので揃え、低めにすることで余白を増やす
・部屋で使うものと、色の数も少なくしたい
・お互いが好きなのは無印良品…
そうした希望を共有して定まった軸が「好きなものを少しだけ持ち、余白を大切にした暮らし」をすること。また「必要なものがあったら、まずは無印良品で探す」ということも決めました。
そうなると、存在感がありすぎる大きなソファは不要だと判断できたといいます。
「ソファを手放してみたら、部屋に空間ができて深呼吸しやすい心地よさを感じました。そこから、理想とは異なるウォルナットの濃いカラーだった食器棚やダイニングセットなども手放しました」(岩城さん、以下同)
今では、厳選した無印良品のアイテムを愛用。特にお気に入りなのが、リビングでもダイニングでもつかえるシリーズのテーブルやソファチェアなどです。シリーズの名前のとおり、チェアを使いたい場所へ動かして、ダイニングで食事を取ったり、リビングでリラックスしたり。定期的に模様替えもして楽しんでいるそうです。
岩城さんのように、理想や目標の部屋がはっきりすれば、不要なものも自ずとわかってくるはず。そこで、思い切って大きなものをひとつ無くしてしまえば、開放感が感じられ、ほかの細々としたものも手放していけるかもしれません。
2. 選択肢を少なくして迷いをなくす
岩城さんはライフオーガナイズなどを学ぶことで、「自分が優柔不断で、選択肢が多いと迷うことにも気づいた」といいます。そこで、持つものはブランドなどを絞り込み、選択肢を減らすことにしたそうです。
服についても、ワンピースだけを着回すことに。カラーはホワイトやブラックなどをメインに、模様はストライプのようなベーシックなものにすると決めて残し、それ以外のものは手放しました。
ヨガインストラクターで、毎朝のヨガも習慣になっている岩城さん。ワンピースは「毎日着るヨガウェアの上にサッと重ねられ、そのまま出かけられるので楽になりました」ということで、ご自身の生活にぴったりだったそう。さらに、毎日上下の組み合わせを考えないで済むことや、買い物で迷う時間、収納場所も減らすことができ、メリット尽くしだったのです。
数枚のワンピースでの着回しは洗濯回数が多くなり、傷むのが早いですが、その頃には少し飽きているため、新しく買い替えられることもご自身に合っているそう。
ものが多いと迷ってしまうという自身の弱点を克服し、好きなワンピースをベースに、羽織物や小物を加えてコーディネートを楽しむ姿はとても軽やかです。
服の数を減らしたい方は、自分にとって着心地がよく、ライフスタイルにも合っている服装はどんなものかじっくり考えてみてはいかがでしょうか。それに「沿った服だけ」があれば、快適におしゃれを楽しめそうです。
3. 似たものはいくつも残さない。大切なものだけを選ぶ
現在12歳の息子さんがいらっしゃる岩城さん。年々増えていくであろうお子さんの思い出のものはどうされているのか伺ってみました。
「写真は、写りが良くないものや、同じようなアングルのものは処分しています。子どもの作品はしばらく家に飾り、その後子どもと残すかどうか相談。定期的に見直し、手放すようにしています」
写真や作品などは、気がつくとどんどん増えてしまうもの。ですが、写真は似たようなものを何枚も残さず、早い段階で処分すれば増えすぎるのを防ぐことができそうです。
作品を処分するのは少し心がいたみそうですが、お子さん自身も思い入れの深いものとそうでもないものがあるはず。飾る期間を設けてしばらく楽しんだあと、少し経って新たな作品ができれば、不要と判断できるものも出てくるのではないでしょうか。本人ときちんと相談すれば、大切なものだけを残すことができそうです。