部屋中に敷きこまれたふかふかなカーペット、鏡のように美しく輝く柱、自然の恵みを生かした石の洗面台。宿泊を通して、工芸に特化した建築材料(=工芸建材)を味わうことができる宿「TACTILE HOUSE OSAKA(タクタイル ハウス オオサカ)」が、大阪・和泉市にオープンしました。実際に泊まってみた感想を交えながら、その魅力をたっぷりとお届けします。
暮らしと工芸建材を繋ぐ「Tactile Material」の誕生
工芸に根差した暮らしの道具を展開する中川政七商店とウールカーペットメーカーの堀田カーペットが、工芸建材(工芸に特化した建築材料)をテーマに事業を手掛ける「Tactile Material(タクタイル マテリアル)株式会社」。
「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに掲げる中で、生活雑貨にとどまらず、スケールの大きいインテリアや建材も工芸の振興に重要であると考えた中川政七商店。ウールカーペットの製造販売を行う中で「体感できる場をつくり、カーペットにとどまらず空間全体まで提案したい」という思いを抱いていた堀田カーペット。両社の想いが重なって誕生した会社です。
「tactile=触覚」も含めた建築の楽しみ方を
Tactile Materialの事業は主に①オリジナル工芸建材の開発・販売②工芸建材の卸売③体感施設の運営・プロデュース。その第一歩として、工芸建材を体感できる宿「TACTILE HOUSE OSAKA」が誕生しました。
「Tactile(タクタイル)」は、日本語で「触覚」という意味。視覚で選ぶことが主流のこの時代に、工芸の力をいかした建築材料(=工芸建材)が生み出す心地よい暮らしを、触覚を通して体感することができる宿です。
TACTILE HOUSE OSAKAは、1階がショールーム兼オフィス、2階がステイフロアになっています。特徴的なのは、脱衣所やキッチンなどの水回りを含めた全フロアにカーペットが敷きこまれているところ。歩いたり座ったりする動作だけでも「触覚」を楽しめるのが新鮮です。
室内の随所に、工芸建材が施されています。デザイン性が高く視覚的な幸福感もあり、五感を通して宿泊を楽しむことができるのが魅力。
TACTILE HOUSE OSAKAの魅力的な工芸建材
カーペット/woolflooring(堀田カーペット)
浴室以外のすべての空間に敷きこまれているのは、堀田カーペットの「woolflooring(ウールカーペット)」。ウールならではのふかふか感が心地よく、場所を問わずのんびりとくつろぐことができます。
洗面台/伊達冠石(大蔵山スタジオ)
表情豊かな色合いの「伊達冠石」が使われた洗面台。自然な石目がそのまま生かされた、重厚感のある佇まいです。曲線を描いたようなユニークなデザインにも注目。
意匠柱・棚板・個室テーブル/漆塗り(漆琳堂)
客室内には、漆を使った工芸建材がいくつか施されています。鏡のようなつややかさを持つ意匠柱に、和紙貼りの漆仕上げで作られた廊下の棚板、乾漆粉を使ったリビングの棚など、漆が持つさまざまな表情を楽しむことができます。
五感で味わう「TACTILE HOUSE OSAKA」宿泊レポート
ここからは、TACTILE HOUSE OSAKAに実際に宿泊した感想をお届けします。
TACTILE HOUSE OSAKAは、大阪から電車で約1時間の和泉市阪本町にあります。最寄りのバス停から、歩くこと5分ほど。のどかな風景に馴染む、あたたかみのある風合いの建物が見えてきました。1階でチェックインを済ませたら、2階のステイフロアへ。外壁の上半分の色が気になっていたので、建物脇の階段から間近で見ることができて嬉しかったです。
扉を開け、カーペットが敷きこまれた廊下を歩いていくと、大きな照明と長いソファが目に飛び込んできます。大きなインテリアが置かれていているにもかかわらず、広々としていてどこか開放感のある空間。