東京・小岩に、味噌を使った健康的な焼き菓子のお店があると知り、甘いものも発酵食品も好きなライターが向かった「OMISONOMORI」。全国各地の味噌蔵から集められた味噌も、その味を活かして作られたグルテンフリー・ヴィーガンのマフィンも、それぞれ個性が豊かで驚くようなおいしさでした。その魅力を、お店の方々に伺った想いとともにご紹介します。
味噌の魅力を伝えるお店「OMISONOMORI」
JR小岩駅から歩いて5~6分。お椀のようなロゴマークと店先のランプが印象的な小さなお店が、2023年秋に開店した「OMISONOMORI(おみその森)」です。全国の味噌蔵から厳選した味噌の販売から始まり、今では味噌を使ったマフィンやクッキーも販売しています。
一歩足を踏み入れると、正面の棚にはかわいらしいカップに入った味噌、ショーケースにはさまざまなマフィンが並んでいます。ブルーグレーのレトロな椅子が並ぶイートイン席もあり、購入したマフィンと一緒にオーガニックコーヒーやオーツミルクラテ、有機紅茶などを楽しむことも可能です。
伝統的な味噌のおいしさを、途絶えさせずに広げたい
このお店を運営しているのは、訪問看護やリハビリのサービスを行うメディセプトという会社。創業者の柳田頼人さんが、九州に住む義理の祖母を訪ねた際に味わった、自家製の麦みその味噌汁がきっかけでした。
体に染みわたるような味わいに感動したのも束の間、かつてはそのように家庭でよく作られていた味噌の作り手が、大幅に減っている事実を知ったのです。「その味をなくすことなく受け継ぎたい」「さらに世界に広めたい」と考え、2021年からOMISONOMORIをスタートしました。
全国の味噌蔵から厳選。個性豊かな無添加の味噌「ナンバーズ」
OMISONOMORIで最初に販売されたのが、柳田さんや栄養士の資格をもつスタッフが全国の味噌蔵を回って選りすぐった12種類の味噌「ナンバーズ」。多くの市販の味噌とは違い、無添加・非加熱のいわゆる「生みそ」です。酵素や麹菌が生き続けているうえに、塩分が控えめのため、味噌本来の麹の甘味や大豆のうま味などを存分に感じられます。米麹と麦麹のタイプがあり、米麹はリラックスに、麦麹は腸活にもよいそうです。
150gはアイスのカップのようなおしゃれなパッケージで、それぞれの味や特徴を伝えるキャッチフレーズと、味噌の色合いを表現した蓋も特徴。目移りしてなかなか選べずにいると、店員さんが好みの味や用途を確認しつつ、試食させてくれました。コクがあるもの、甘味が強いもの…とまったく異なる味わいに驚きます。
今回私は3つを購入。米麹の粒感が残り、ほどよい塩味と濃厚な香りが特徴の「#03 粒ビター」、米麹のやさしい甘味にホッとする「#09 まろひめ」、麦の豊かな香りとほのかな酸味を感じる「#10 麦クイーン」です。味噌汁にしたり、野菜につけたり、焼き物や煮物の味つけにも使って楽しんでいます。
ナンバーズ
150gカップ 580円(税込)
360g袋 972円(税込)
750g袋 1,755円(税込)
医師や老舗味噌蔵と開発。カリウムやリンも抑えた「はるひ」
さらに健康に深く配慮した味噌「はるひ」もあります。OMISONOMORIの管理栄養士が中心となり、腎臓内科専門医の協力を得て、千葉県佐倉市の老舗味噌蔵と共同開発しました。
一般的な減塩の味噌以上に塩分を少なくし、たんぱく質の割合が低い「春陽米」の麹を使用。さらに、過剰摂取すると腎臓病につながるカリウムやリンも抑えてあります。それでも糖質や脂質とのバランスを工夫して甘味とうま味、コクも感じられるように仕上げたそう。
厚生労働省推奨の理想的な栄養バランス比率「P(たんぱく質)F(脂質)C(炭水化物)バランス=2:2:6」に近づけながら、おいしさも実現したこだわりの一品です。
はるひ
300g 1,480円(税込)
味噌で風味豊かに。グルテンフリーの「森のマフィン」
OMISONOMORIでもうひとつチェックしたいのが「森のマフィン」。ナンバーズの味噌を練り込んで作られる焼き菓子です。スイーツ系・おかず系を合わせて15種類ほどのラインナップが展開されています。
すべて小麦粉の代わりに米粉を使い、卵・乳製品などの動物性食品や、人工甘味料・添加物も不使用。味噌と同様に、体に負担をかけない素材で丁寧に作られています。
日々のおやつにも手土産にも大人気で、私がお店に行った夕方にはショーケース内のものはほぼ売り切れ。それでも店内で冷凍されているものを購入できたので、3つお持ち帰りしました。
麦みその特徴をダイレクトに感じられる「#6 麦キング」
一番人気は「#6 麦キング」。大地の香りを感じるような麦みそ「#6 麦キング」を主役にしたマフィンです。
少し温めて食べると、しっとり、ホクホクとした生地から麦みそのうま味とコクが広がります。ほどよい甘じょっぱさがクセになる味わいで、甘すぎるものが苦手な方も食べやすそう。リピートしたくなる、味噌屋さんならではの一品でした。
森のマフィン #6 麦キング
520円(税込)