今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
波打つ時間と生命と
今週のさそり座は、日常とは別の場所へと心を移動させていこうとするような星回り。
『焚火中炎のせては落葉失せ』(上野泰)という句のごとし。山のように積まれた落葉に火が放たれると、たちまち煙が立ち、やがて明るい炎が眼前に迫ってくる。そんな炎にジッと見入っているうちに生まれた一句です。
深く炎に見入られるほどに、孤独な夜の中で平板だった時間が波打ちはじめる。常識にかたどられた義務感と、夢想の自由とのあいだで揺らぐほどに、身体がだんだん軽くなって垂直性の次元に連れ去られるのです。
あなたもまた、平行に上滑りしていくようなクロノジカルな時間からいかに抜け出していけるかがテーマになっていくはず。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
現場からは以上です
今週のいて座は、とにかく行動の選択肢を増やしていこうとするような星回り。
私たちは日頃から、些細なきっかけでここではない「いつかどこか」へと意識が流れ出し、終わりなき足もとお留守状態に陥りがち。そうした意識の旅を一瞬で断ち切り、今この瞬間に即座に戻ってくる方法の一つは、つねることです。
人は生老病死であれ、愛別離苦であれ、そうした痛みの現場に立つときに初めて、人生の分岐点に立つことができるもの。
あなたもまた、改めてthereからhereに舞い戻って、目の前の事態に向き合っていくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
アンチ・スピードアップ
今週のやぎ座は、潜在的な不安要素やそのきな臭さを嗅ぎ分けていこうとするような星回り。
『冬ぬくしバターは紙に包まれて』(中村安伸)という句のごとし。ここでの「バター」とは、すました顔で当たり前のように展開されていく日常生活の中にまぎれた一片の異物のこと。
そうした不自然さなまでに静謐な佇まいをまとって、日常を異化してくれるストレンジャーの存在こそが、日常のマンネリ化や平板化を防いでくれる。ありきたりなパターンから外れた、いきいきとした生活感をもたらしてくれる。
あなたもまた、そんな自分の世界にひょいと迷い込んできた異物を敏感に察知していくことになるかも知れません。