今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
純粋であるために
今週のかに座は、糸瓜もわれもみな同じ穴のむじなよな、と割り切っていこうとするような星回り。
『糸瓜さへ仏となるぞ遅るるな』(正岡子規)という句のごとし。決してわれも糸瓜に遅れをとってはならないという訳ですが、得てして愚かに見える相手ほど仏縁で深く結ばれているものだったりします。
逆に、いざとなれば自分からあっさり離れていくような相手にばかり、日頃から私たちは執着しがちですし、本当に大切にすべき相手や縁が最後まで分からなかったりする。そういう前提で周囲を見渡すとき、かえって掲句の真意がつかめてくるような気がします。
あなたもまた、身近な糸瓜との縁をあらためて見直していくべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
役立たずになってみる
今週のしし座は、自分とは根本的に立場を異にする相手に対し、忍耐強く波長を合わせていこうとするような星回り。
『どくとるマンボウ医局記』(1993)は、作家であり精神科医でもあった北杜夫の名エッセイ集。精神科病院の畳敷きの大部屋を訪れる際、「私は大部屋に入るときは白衣を脱ぐことにした」「私は白衣を丸めて枕にして寝そべり、患者たちと同じ姿勢をとる」のような、根気強く患者に接する描写があります。
精神科の入院患者たちは、確かに普通の日常的なコミュニケーションは成立しにくい代わりに、発する気配やムードには異常に鋭敏で、立ち姿や足音だけでこちらの意図を鋭く見抜いてしまったりもするのだそう。
今週のあなたもまた、それくらい鋭くも慎重に空気を読み、気配を察していきたいところです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
あるべき自家発電のために
今週のおとめ座は、まず自分から何かを与えていこうとするような星回り。
『巨燵(こたつ)出てはや足もとの野河哉』(与謝蕪村)という句のごとし。都でうだつのあがらなかった絵師が、ぽっと出て行ったからといってすぐに芽が出て、開花するはずもなし。乞食同然の身なりでさすらっていた作者は高松の豪商・富山家に拾われ、なんとか命運をつなぐことができたのだとか。
苦しいときに受けた恩というのは、それだけ時を経るごとにありがたみを増していくものであり、何よりそうなるように生きていくことで、人はしあわせになっていけるものなのかも知れません。
あなたもまた、自分がすでに返しきれないほどの厚情を受けとっているという前提に立って動いてみるべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
内なる自然を垣間見る
今週のてんびん座は、つくられた健康美などよりも、生々しくも美しいグロテスクさにこそ直面していこうとするような星回り。
現代社会において他人の視線を内面化していない人間というのはありえませんから、例えば、「人前に全裸で出る」ということは、一つの虚構であり、従ってそれを合法化している銭湯というのは、ある種の劇場に他ならないのだと言えます。
裸というのは、普段見てはならぬ/見せてはならぬ不可視の現実の開陳。そうした場にみずからおもむくということは、それ自体が緊張感を孕んだ視線同士の劇的出会いを生成すること、言わば人間劇場の開幕なのです。
あなたもまた、そうした不自然な異常態へと積極的に変じてみるべし。