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新年に絶対見たい! おめでたい気分をガッツリ味わえる「縁起物づくし」の展覧会

カルチャー

東京・日本橋の三井記念美術館で、『国宝 雪松図と吉祥づくし』が開かれています。本展では、きらびやかで華やかな国宝《雪松図屏風》をはじめ、七福神や子孫繁栄などおめでたいテーマの作品を展示。新年にぴったりの「縁起物づくし」の展覧会をご紹介します!

ハッピー気分になれる!

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【女子的アートナビ】vol. 276

『国宝 雪松図と吉祥づくし』では、三井記念美術館のコレクションを代表するお宝作品、国宝《雪松図屏風》を中心に、長寿や子孫繫栄など「吉祥」をテーマにした作品や、福の神にまつわる三井家ゆかりの品々など、新年を迎える時期にぴったりの美術工芸品を展示。作品を見るだけでハッピーな気分になれる、ありがたい展覧会です。

プレス内覧会では、三井記念美術館の学芸員、藤原幹大さんが作品について解説。各作品の見どころや、テーマなども教えていただきました。藤原さんの解説をもとに、「吉祥モチーフ」の由来もご紹介していきます。

吉祥クイズ1:なぜ「牡丹」はおめでたい?

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《青磁浮牡丹文不遊環耳付花入》南宋〜元時代・13〜14世紀 三井記念美術館

本展の第1章では「富貴の華」と題して、牡丹が描かれた作品が展示されています。ここで、吉祥クイズ!

なぜ牡丹は、おめでたいモチーフなのでしょう?

牡丹の花は、唐の皇帝・玄宗と楊貴妃が愛した花で、中国の貴族たちにも好まれていました。その伝統が日本にも持ち込まれ、牡丹は縁起の良いおめでたい花として美術品にも多く描かれています。

この展示室でひときわ目を引くのが、美しい青磁の花入れ。牡丹の図柄が大きくあしらわれています。本作品は、三井家の前には福井のお殿さまが持っていたもので、藤原さんは次のように解説しています。

藤原さん この花入れは、福井藩の重要な宝物として大切に保管されていた由緒ある品です。大坂城に伝わっていたもの、という言い伝えがあり、福井藩のご先祖が大坂の陣での働きにより得られたもので、栄光を象徴する品でもあります。牡丹という花は、栄光や権力の象徴として重要視されていたという歴史も垣間見えます。

吉祥クイズ2:なぜ「猫」はおめでたい?

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『国宝 雪松図と吉祥づくし』展示風景

第2章「長寿と多子」では、長寿や子宝、立身出世などの願いがこめられた作品を展示。長生きの象徴である鶴や亀などの縁起物が描かれた掛け軸などを見ることができます。

ユニークなのが、猫の絵が描かれた掛け軸です。なぜ、猫がおめでたいのでしょう?

藤原さんによると、中国語で長寿を意味する言葉と猫の発音が近いので、「猫は長寿を願う生き物」として捉えられていたそうです。

吉祥クイズ3:なぜ「松」はおめでたい?

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国宝《雪松図屏風》 円山応挙筆 18世紀 三井記念美術館

同じく第2章に、本展のハイライト、円山応挙作の国宝《雪松図屏風》があります。この「松」もおめでたモチーフのひとつ。なぜ、縁起が良いのか、ご存じですか?

松は、四季を通じて緑の葉が茂っていることから、永久で不変、つまり長生きの象徴として捉えられています。

きらびやかな金が使われ、目にも鮮やかな本作品には、松が大きく描かれ、まさに「おめでたい」の極地。藤原さんは、この絵の作者である円山応挙が「空間そのものを縁起の良いものに変える、ということも意識して制作したのかもしれない」と話していました。

吉祥クイズ4:なぜ「ライチ」はおめでたい?

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『国宝 雪松図と吉祥づくし』展示風景

先ほどご紹介した「猫」のほかに、もうひとつ、中国由来のユニークな吉祥モチーフをピックアップ。それが、「ライチ」です。本展でも、ライチが描かれた掛け軸が展示されています。

甘くてジューシーな白い果肉のライチ、なぜおめでたいのでしょう?

ライチは、虫害を受けず、樹齢100年以上の老木も実を結ぶという言い伝えから、長寿のイメージがあるとのこと。また、ライチを意味する中国語「茘枝」が「立子」の発音と似ているため、子孫繁栄の意味も重なるそうです。

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