今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
軽やかに住まう
今週のさそり座は、どこか弾むような若々しさをみずからの在りようにおいて、取り戻していこうとするような星回り。
『方丈記』と言えば、人の世の無常とかけた「ゆく河の流れ」や「うたかた(泡)」の話だと思われがちですが、実際に鴨長明が語っていたのは人と住み家の在りようの話。長明は、彼がかくれ住んだ京都郊外の日野山の小屋の「在りよう」についてつづっています。
家具だけでなく、琴や琵琶までが組み立て式であることを、どこか弾んだ調子で語るこの文体の特徴を一言で言えば「軽み」でしょう。少なくとも、50歳前後の「老」を匂わせるそれではなく、もう少し軽ければ「若」さえ漂っていたはず。
あなたもまた、どうしたら自分の生きてきた来歴を「軽み」をもって表現ないし配置していくことができるかということがテーマになってくるでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
現実との間合いをはかる
今週のいて座は、よく手になじんだ道具で現実をはかり直していこうとするような星回り。
『寒卵ひところがりに戦争へ』(藺草慶子)という句のごとし。
掲句において「寒卵」と「戦争」の間合いは、おそろしく近い。そしてテーブルの上をゴロリと転がるその冷たい響きには、なにか近づいてくる軍靴を暗示するような予感めいたものを感じます。
あなたもまた、作者における「卵のひところがり」のような自身の身体性に即した尺度で目の前に起きている現実を捉え直していきたいところです。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
限界状況で見出されるもの
今週のやぎ座は、この世界で生きることの豊かさを感じ直すための土台がどこにあるのかを、確かめていこうとするような星回り。
江戸時代の秋田藩で医師をしていた安藤昌益は、日本的な社会主義の祖としても知られていますが、安藤によれば、穀物の中でも米こそがこの世の循環運動を凝縮したものであり、この米粒から人間も生まれるものと構想されたのです。
小さな米粒のひとつひとつに人の原形がこめられ、それを食べることで人の命も継続する。いのちの継続を願い、それを世界と人間との一体化を実践していくことで実現していく安藤の思想には、現代の日本人が改めて自然の中の人間の在り方を取り戻していくための大きなヒントがあるように思います。
あなたもまた、自分なりの世界観が凝縮しているような体験が日常のどこにあるのかを、改めて意識してみるといいでしょう。