今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
水を汲む
今週のかに座は、下からの声を拾い上げるべく、ますます底を薄くしていこうとするような星回り。
宗教学者の中沢新一と俳人の小澤實による、対談集『俳句の海に潜る』。
その中で、俳句という言語芸術を前衛的試みから伝統芸術の一角へと昇華させた江戸時代の松尾芭蕉の方法論を、単に方法論的な分析にとどまるのでなく、彼らが根差していた世界観から捉え直しています。
あなたもまた、近代的な世界観を乗り越えるためにも、こうした「漂泊しながら根を下ろす」やり方を自身の生活に少しでも取り入れてみるといいかも知れません。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
社会実験する自由
今週のしし座は、誰かとつながったり足を運んだりという活動に、特別な新鮮さを取り戻していくような星回り。
『曖昧に踊り始める梅見かな』(野口る理)という句のごとし。桜のように、道ばたのちょっとした空き地にシートを敷いて花見をしているような人たちもいないので、そうした身体的なぎこちなさは社会的な文脈によっても強化されてしまう。
「だがしかし」である。そうであるからこそ、「見る阿呆」でいるくらいなら、「踊る阿呆」の側に立ってやろうではないか、と。そんな奮起する者の昂ぶる心理が掲句の背後にはあるのではないでしょうか。
あなたもまた、できるだけ「踊る阿呆」の側にみずからを立たせていくべし。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
芯を通す
今週のおとめ座は、真の意味で知的であろうと努めていこうとするような星回り。
精神医学者の中井久夫の膨大な仕事の一つに「私に影響を与えた人たちのことなど」というエッセイがありますが、その中に、直接名指しするのを避けるような仕方で言及されている人物がひとり出てくるのです。
すべてを語り尽くし、世間にこれを見ろと訴求して消費を促すのではなく、本当に大切なものはあえてぼかし、内に秘めることで引き継いでいく。そこには金銭的還元だけが「推し」への敬意の表し方ではないのだという、メッセージも込められているように思います。
あなたもまた、「日本は有名な人っていうのはたいしたことはない。無名な人が偉いので、こういう人が国を支えているのだろう」という中井の言葉を折りにふれて、口に出してみるといいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
物語の改まり
今週のてんびん座は、自分という存在を夢見ている誰かどこかに思い至っていこうとするような星回り。
『ぬるたまを吹きひとゆれの猫ばしら』(九堂夜想)という句のごとし。かつてその中で眠っていたことのある猫のことを、キャットタワーはよく覚えていて、そうして時どき記憶の端くれをポッと吐き出していくものなのかも知れない。
だとすると、今こうして文章を書いてる私だって、それを読んでるあなただって、どこかの家や土地が吐き出した夢であるという可能性だってまったくゼロではないだろう。
あなたもまた、おのずとそうした夢の起源へと遡っていくことになるはず。