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「気分が落ち込む」それ、花粉症のせいかも?花粉症とメンタルヘルスの意外な関係|臨床心理士が解説

今年のスギ花粉の飛散量は前年よりも多いと言われています。3月はスギ花粉の飛散ピークを迎えている地域が多く、たった今、花粉症の症状に悩まされている方が多いのではないでしょうか?花粉症では、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻のムズムズ、目や皮膚のかゆみ等、これらの症状に加えて、イライラや落ち込み、睡眠不足、集中力の低下などがおこります。花粉症でなぜ気持ちの変化があるのだろうと疑問に思いませんか?今回は、花粉症とうつ等メンタルヘルスの関連についてご紹介します。

アレルギーとうつ病は関連がある?

アレルギーに関する最新の研究では、「重度のアレルギーを持つ子供の方がうつ病や不安をかかえるリスクが高かった」「全般的な不安が季節性アレルギーと関連している」「アレルギー性疾患がある場合、うつ病の出現率は1.45倍、不安で1.25倍、躁うつ病で1.29倍」といった研究結果があります。しかし、精神疾患に関する研究はまだ解明されていないことが多いです。「アレルギー性疾患と精神疾患の関連性ははっきりしなく、因果関係の指摘はできない」という研究結果も出ています。アレルギーと心の病気を同時に抱えている人は多いようですが、その関連性が分かるよう、更なる研究が必要といえます。

ストレスが増えると免疫システムは誤作動を起こす

花粉症の症状は、体内に入ってきた花粉を取り除こうとすることで生じるアレルギー反応で、花粉症は免疫システムが花粉に対して過剰反応を起こしている状態です。そして、私たちの免疫システムはストレスの影響を受けます。 強いストレスを受けていると、免疫システムに誤作動が起こりやすくなります。例えば、年度末で忙しい、睡眠不足が続いている、環境の変化があるなど、ストレスを抱えていると花粉症が悪化することが考えられます。スギ花粉やヒノキ花粉のピークである3月〜4月はこのようなストレスが重なりやすい時期です。元々持っているアレルギーにストレスが重なると免疫システムが誤作動を起こしやすく、花粉症がさらに悪化するという負のループに陥る可能性があります。

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年度末にも当たる3〜4月は、忙しさや環境の変化などによってストレスを抱えやすく、免疫ストレスが誤作動を起こしやすい時期とも言える。
photo by Adobe Stock

少しでもストレスを減らそう

花粉症の症状が悪化しないようにストレス軽減を心がけましょう。ストレス解消法のポイントは、手軽な方法で自分に合ったものを見つけることです。ストレスは、溜まりきってから解消するのはとても大変です。そのため、手軽な方法でこまめに解消する必要があります。また、他人にとって効果がある方法でも自分にも同様に効果があるとは限りません。自分はどのような時に気持ちが落ち着くのか、楽しいと感じるのか、しっかりと日々の心を観察することで効果的なストレス解消法がみえてきます。日々の生活からストレス解消法を振り返る、人からオススメされた方法を試してみて、自分の心がどう動くのか観察することでストレス解消法を増やしていきましょう。また、ストレス解消法がないと思っている人でも、「寝ること」「散歩」「掃除」「料理」など身近なことがストレス軽減につながっている場合があります。もし気づかないうちに癒されていたり、すっきりした気持ちになったりしているのなら立派なストレス解消法です。まずは身近なところから探してみましょう。

最近の花粉症治療をチェックしよう

花粉症の治療法は日々進化をしています。従来の服薬による治療法だけではなく、舌下免疫療法、レーザー治療、重症・最重症者に対する抗IgE抗体オマリズマブ(ゾレア®)の皮下注射などの治療法も保険適応となります。今までの方法で効果が見られない場合は、服薬の見直しに加えて、治療方法の見直しをしてみることも大切です。

※それぞれ効果や治療期間、費用など異なりますので、詳細は医療機関をご参照ください。

参考:

免疫ナビ|免疫を学ぼう
The Reason Anxious People Often Have Allergies
Investigating the causal relationship between allergic disease and mental health
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