今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
認識の闇の奥へ
今週のさそり座は、わからないことを、そのまま引き受けていこうとするような星回り。
たとえば、夫婦同士、友達同士で「わかり合う」ためには、まず自分のことが「わかる」のでなければなりません。例えばニーチェは人間が何かを認識するということは、未知のものを既知のものに置き換えることだと考えていましたが、私たちは自分のなかにある未知なものを否定しきれるでしょうか?
少なくともニーチェは、そうした自己認識は必ず失敗すると考えました。なぜなら人は、そもそも自分が何を考え、何を望んでいるのかを、自分で意識することがほとんどできないから。安易に自分のことをわかったつもりになることほど、みずからを陳腐化させてしまう真似はないはずです。
今週のさそり座もまた、自分を認識しようとしたとたん、覆い隠されてしまう自己認識の不可能性を、改めて引き受けるところから始めていくべし。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
瞑想的まなざし
今週のいて座は、おじいちゃん/おばあちゃんになったつもりで物事を眺めていくような星回りり。
『花見弁当いろんな犬の見て通る』(小川春休)という句のごとし。一読して最初に浮かんだのは「末期の眼」という川端康成の言葉。普段ならまず目にも留めないようなことへ静かに視線を遣ってじっとしているその様子は、どこか晩年の川端その人のようでもあります。
こうした「緩慢さ」や「スローさ」というのは、占星術では土星が象徴し、困難や障害をあらわすとされていますが、一方で、深い成熟や芸術的な創造性の源ともされています。
あなたもまた、いつもとは異なる仕方で、些細でなんでもないよう事柄にまなざしを向けていくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
奥は水平
今週のやぎ座は、政治的な「正統さ」から逸脱していくための想像力と言葉とを、養っていこうとするような星回り。
たとえば私が「土星」だとして、友達が「火星」だとしましょう。とてつもなく離れている火星と土星は、ある時期近くを並走することはあるかも知れませんが、それはあくまで一時的な事態。基本的にはそれぞれが進むべき軌道にしたがって、まったくの別の進路へ向かい、離れ離れになっていきます。
しかし、離れ離れでいるからと言って、無関係になるわけではありません。なぜなら、土星も火星も同じ太陽系という秩序に属しながら、ともに銀河というさらに大きな秩序内をめぐっているから。
今週のやぎ座もまた、そんな星の友情を念頭に置いてみるといいかも知れません。