今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
さりげなく、とてつもない
今週のさそり座は、自分にどこまでも正直になっていこうとするような星回り。
『巻貝の渦を数へて春の風邪』(大木あまり)という句のごとし。深刻な病状ではなく、何をするのでもない風邪の日の気怠さをさりげなく表出している。人間は何もするなと言われても、必ず何かせずにはいられない生きものであり、さりとて意義のあることを全力で行えるほどつねに体調や気力が充実している訳ではない。
むしろ、ここでは「巻貝」という自然のうつくしい造形物の力を借りることで、呼吸をととのえ、少しでも英気を養っているのでしょう。
あなたもまた、できるだけ呼吸や気力を養っていくのにちょうどよいものに手を伸ばしていくべし。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
異なるリアリティを行き来する自由
今週のいて座は、SNSという「血の池地獄」の“外”へこっそり抜け出していくような星回り。
「自己承認欲求」という言葉をよく聞くようになった、と橋本治が書いていたのは2017年になったばかりの頃のエッセイでした。自己承認欲求というのがここまで広がっているのは、いつの間にか人として一人前になるためには誰かに認められなければならないということになっているのであって、橋本はそうすると、誰がそうした承認欲求を満たしてくれるんだろうか、と畳みかけます。
一方で、橋本は「世の中って、そんなに人のことを認めてなんかくれないよ」と漏らし、「自己承認欲求というのは平和がもたらした贅沢な産物」であり、もう自分は一人前の大人なんだ、という明確な自覚をそれ以外の方法で持てなくなってしまった人がかかる、現代病なのだと釘を刺します。
あなたもまた、そうした自己承認欲求を煽る構造の外部へと、何でもないようにひとり歩いていけるかどうかが問われていくことでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
複雑な色調を生きる
今週のやぎ座は、みずからの人生をシンプルにまとめあげていこうとするような星回り。
『吾(あ)も春の野に下り立てば紫に』(星野立子)という句のごとし。
句の紫は、非日常へのとば口の紫であると同時に、紫の着物を愛用しそれを普段から身にまとっている者の日常の紫でもあり、また単に視覚的な色彩というより、春の野全体から匂い立つような心理的な色調でもあり、そうして何重にも重ねられた紫が立体的に作者を包みこんでいるように感じられます。
あなたもまた、自身の人生を貫く一本調子となっているものに気が付いていくことがテーマとなっていきそうです。