今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
島影から大陸をまなざす
今週のさそり座は、人間からの退散&自然への接近をはかっていこうとするような星回り。
ここのところ突発的な自然災害だったり、AIの著しい発達だったりと、ヒューマン(社会)とノンヒューマン(自然)との緊張関係が、改めて顕在化しているような感じがありますが、こうした状況下において私たちは自然といかに向き合っていけばいいのでしょうか。
例えば、それにはどこまでも社会に適応した“いい人”をやめること、より積極的にはある種の“悪い人”になるというものがあります。宗教学者の中沢新一いわく、「悪」というのは、本来むき出しの自然、ぜんぜん人間の力ではどうにもならない恐るべきパワーの世界に接近して、そこに踏み込んでいく行為のことを言うのだそうです。
あなたもまた、残酷さだったり、躊躇のなさだったりといった非人間的な領域にこそ身を潜めていきたいところです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
別の何かに開かれていく
今週のいて座は、自分の不完全さに対してメタ認知をかましていこうとするような星回り。
『蠛蠓(まくなぎ)の阿鼻叫喚をふりかぶる』(西東三鬼)という句のごとし。作者は自句自解の中で「生命を持つものの大叫喚が聞こえないのは人間の耳が不完全だからだ」と書いていましたが、確かに私たちはしばしば自分が不完全な存在であることをすっかり忘れてしまうがゆえに、相手の気持ちや存在自体をないがしろにするようなことを平気で言ってしまう。
その意味で、ものすごい形相とともに「阿鼻叫喚をふりかぶ」ったのであろう作者は、そうした咄嗟にとった動作を通して、逆説的に自分がまだ狂いきっていないことに気が付いたのでしょう。なんだ、自分だってこのちっぽけな羽虫のようなものじゃないかと。
あなたもまた、それくらいの勢いで自分にツッコミを入れてみるといいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ただそこにいるだけでよい場所に立とう
今週のやぎ座は、立派な個人であろうとするより、宇宙的な断片にならんとしていくような星回り。
心理学やカウンセリング、占いなどが世間に“自己実現”を促そうとも、人間はしょせん「断片的な存在」であることから免れえず、私たちができることは、「実に嫉妬深い、恨みがましい、妄執の鬼と化するに終わる」ことだけなのだ、と。そう説いたのは、近代文明が人間生活にもたらす悪影響を一貫して主題として扱ってきたD・H・ロレンス。
では私たちはどうすべきか。例えば『黙示録論』を翻訳した福田恆在は、互いに愛し合っていくためには「(自律性を)個人の外部に―宇宙の有機性そのもののうちに」求めていかなければならないのだと訴えており、それはロレンスの「まず日輪と共に始めよ」という言葉に収斂していきます。
あなたもまた、意地になって個人主義を貫こうとするより、積極的にコスモスの一部としてあろうとしていくべし。