作品4|生きているかのような光の彫刻が圧巻『Light Sculpture』
『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス - Through the Asymmetric Universe 』
『Light Sculpture - Flow』シリーズは、流れ出ていく光の線の集合により構成された、いわば光の彫刻。押し寄せたり広がったり…を延々と繰り返す光の線は、それ自体はひとつひとつが空間的・時間的には離れていても、そこに秩序が形成されたとき、一つの存在として認識できるようになります。私たち人間が海に出現する渦に存在感を感じるように、光の線にも「物体」としての存在感を感じるのです。
『Birth』
光の線は音と連動し、形も色も、刻一刻と変化していきます。目の前で繰り広げられる光のアートを無心で見つめていると、まるで光自体が生命をもって生きているかのように見えてきて、不思議な感覚にとらわれます。「芸術的」「美しい」という感情のほかにも、光に誘われるように自分の内面にある何かが揺さぶられます。アート空間に自分がただ存在し、ただ圧倒されている。そんな非日常の体験に、新しい気づきが生まれるかもしれません。
作品5|アートと自分の境界がなくなる体験『虚空の宇宙』
『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス:虚空の宇宙』
『虚空の宇宙』では、物理的な壁や床の境界を超越し、アート群の軌跡が描く線が空間に放たれていきます。眺めていると壁や床の存在もいつの間にか忘れ、浮遊したアートの中に自分がたたずんでいるかのような感覚に。こちらの写真は、『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス:虚空の宇宙』という作品。光で描かれた八咫烏(やたがらす)が物理的な壁を超越して飛び、先頭のカラスを追いかけ、そのカラスがまた追われて……といったカラスの軌跡を描く線が、アートとして織りなされます。
線の軌跡が描く線は、まるでオーロラのように見えることもあります。次々と華麗に変化していく光の美しさと音の迫力が自分の周囲を取り囲み、いつのまにか自分もアートの一部かと錯覚してしまうほど。
『The Way of the Sea: 虚空の宇宙』
それはまるで、一瞬として同じ景色ではなく、次々と変化する自然界にも似ています。その様子を早送りして見ているかのようで、おもわずため息。一点をずっと見つめるのか、ぐるりと周りを見渡しながら感じるのか。そこにあるものが何なのか、自分のなかで正解を見つけられるまで、しばしたたずんでしまいます。