今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
まだ引きずっているものの尾をつかむ
今週のかに座は、自身の出自をめぐる“物語”をそっと掘り起こしていこうとするような星回り。
瀬尾まいこの短編小説『卵の緒』に登場する小学生の育夫は、周囲の様子から自分が捨て子であることにうすうす勘づいている。「へその緒を見せて」と母親に頼むと、母親は「母さん、育夫は卵で産んだの」と言うのです。
この小説は、読者に目に見えない暖かな繋がりを感じさせてくれるのですが、だからこそ、逆に血は繋がっていても目に見えない暴力や支配をさまざまなやり方で組み入れてしまう現実のさまざまな親子関係の残酷さをも、照らし出しているように思います。
あなたもまた、生まれ育った環境や両親に対する思いのなかに、もし未だ抱えているしこりがあるのなら、いっそ自身の出自をめぐるイメージを大胆に書き換えてみるといいかも知れません。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
私は誰?
今週のしし座は、これまで言葉にならなかったモノやコトが言葉になっていくような星回り。
『秋の暮不遇の犬は川沿いに』(和田悟朗)という句のごとし。「犬」は見るからに野良犬然としていて、行く当てもなく、餌か何かをもとめてふらふらと道をほっつき歩いていた。ふとそこに、懸命に鼻を利かせ、長年に渡りわびさびを追って右往左往してきた、自分自身の来し方が重なったのかもしれません。
ずいぶん色々なところを訊ね歩いてきたが、探しものは見つからなかった。それがゆえの「不遇」なのだとすれば、これは作者自身を超え、人生そのものの普遍的な隠喩とも言えるのではないでしょうか。
あなたもまた、立派なものでなくてもいい、身の丈にあった言葉を紡いでいくべし。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
身体と速度
今週のおとめ座は、「勝つ」ことや「目立つ」ことより、「やりすごす」ことの方を優先していこうとするような星回り。
中国には、ほんとうの隠者は都市のなかに隠れるという成句がありますが、デカルトもまた『方法序説』のなかで“群衆のなかこそ隠れ家”ということを言っています。
群れというものを一つの風景や背景ととらえれば、ふだん特別意識していなくても、そうした自分が溶け込んでいる風景や背景が織りなすパターンやリズムなどは、こうした歴史的に醸成されてきた都市の定数によってある程度決まってくるものなのかも知れません。
あなたもまた、あらためて自分の身体にとって馴染みやすい都市の定数がどんなものなのか考えてみるといいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
人が宇宙を活かすのだとすれば
今週のてんびん座は、古臭さや月並みさの殻を破って「新しさ」にいたろうとしていくような星回り。
『百方に借あるごとし秋の暮』(石塚友二)という句のごとし。
普通なら他のことに意識を向けて、それをごまかそうとしてしまうところですが、掲句にはそれがない。状況自体はまったくもってどうしようもないが、それでもと肚を決めて顔をあげた時の度胸を感じる句です。
あなたもまた、人間としての誠実さや度胸ということが問われていくでしょう。