今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
‟普通の人間”など超えていく
今週のさそり座は、みずからの内面奥深くで錬金術を施していこうとするような星回り。
『冬の噴水胸に収めて炎とす』(原子公平)という句のごとし。「噴水」といえば、大抵は涼感をもたらす夏の素材を連想するものですが、この句では寒々しい感じのする「冬の噴水」が詠われています。
しかしそれでも、じっと見つめていると、時おり低く垂れこめた雲の合間から日が差してきて、きらきらと光った瞬間があったのかも知れません。
あなたもまた、どんな時にも心のゆとりを失わず、愚直に希望の火だねを見つめ育てていきたいところです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
死と敗北に寄せて
今週のいて座は、決して軽んじてはいけない営みや存在に、改めて心を寄せていこうとするような星回り。
天童荒太の長編小説『悼む人』には、元医療機器メーカーの営業職で、今はニュースや新聞で知った事件や事故の現場を訪れては、そこで犠牲者を悼む旅をしている主人公が、語っている箇所があります。
いわく、自分を「<悼む>人にしたものは、この世にあふれる、死者を忘れ去っていくことへの罪悪感」であり、「いいのか、それでいいのかと、突き上げるような痛み」であったのだと。
あなたもまた、折にふれて物思い、「悼む」という感覚を思い出すこともまた、人の生きる道なのだと、改めて知っていきたいところです。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
得ていく私と消え去る私
今週のやぎ座は、「もう一人の自分」に目を明け渡していこうとするような星回り。
『雪ふるよ障子の穴を見てあれば』(正岡子規)という句のごとし。
障子の穴から「雪ふるよ」と何度も口に出しながら、一見すると子供じみた無意味なことに熱っぽくこだわっている作者とは別に、それを見つめつつも、これまでの自分の生きた歳月を静かに振り返っている‟もう一人の作者”がいるように感じられますし、おそらくそうした重なりあう自分同士のズレの広がりのようなものこそが掲句の主題だったのではないでしょうか。
あなたもまた、無意味なことや些末なことに熱心に関わってみなければ分からないような重みを、ふいにズシリと感じていくことになるかも知れません。