今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
人参と謎の本
今週のかに座は、冬の時代をはね返していく為の一つの理想形を見出していくような星回り。
『ロシア映画みてきて冬のにんじん太し』(古沢太穂)という句のごとし。戦後間もない昭和23年の句。自注によれば、これはちょうど1947年につくられたロシア映画で、当時日本で公開されたばかりであった『シベリア物語』を見たことをきっかけに詠まれたものなのだそうです。
ロシア語を学び、労働運動に積極的であった作者の眼には、ロシアは「戦争の痛手をこえて、どんなに大きく新しく建設が進み、人間が成長しているか」を体現している一つの理想国家に映っていたのでしょう。
あなたもまた、身近なところから自身の希望を体現している何かを見出していきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
自分事をすませていく
今週のしし座は、変に後に思いを残さぬように、個人的に努力してできることはとことんやりきっていこうとするような星回り。
「すむ」という言葉について『岩波古語辞典』をひくと、「浮遊物が全体として沈んで静止し、気体や液体が透明になる意」をくんだ「澄む」の他に、「済む」のすむと、「住む」のすむとがあり、この3種類の「すむ」の意味を重ねて使っても不自然でない受け止め方をしてきたのだということが分かります。
「済む」は、「済みません」という言葉にも残っているように、片を付けたこと、つまり借りを返し、もはや何の負い目もないという含みが込められた言葉であり、「住む」はあちこち動き回るものが一つ所に落ち着き、定着することを言います。
その意味で、この「すむ」という言葉はまさに鴨長明の生き様そのままであり、あなたにも、少なからず響くものがあるのではないでしょうか。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ヘラともならず
今週のおとめ座は、キリのような鋭さでもって対峙していくべきものを対象化していくような星回り。
『冬服や辞令を祀る良教師』(杉田久女)という句のごとし。猛毒のごとき皮肉のきいた一句であり、句材にされた作者の夫はこの句をみて激怒したと言われています。
当時は大正時代で、そもそも作者が俳句に親しむこと自体、夫はこころよくおもっていなかったようですが、逆に言えば、作者が後に「女性俳句の草分け」的な存在となっていった原点はまさに掲句に詠まれたような夫との結婚生活への反発にあったはず。
あなたもまた、全力でぶつかっていけるような材料を自身の身の回りに改めて見つけ出していくべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
弱い情報を遮断しないでい続けること
今週のてんびん座は、「偶然」とか「たまたま」といったことを、ひとつの儀式にまで高めていこうとするような星回り。
「出会い」の偶然性を問い続けた九鬼周造は、主著『偶然性の問題』の最後に、「遭うて空しく過ぐる勿(なか)れ」という言葉を引いて論を閉じました。
誰かと「出会い」、何かと自分がピタリと「合う」ことは、当人の感性や知性ぬきには語れないということであり、出逢いの現場で何かを一目みて‟いい”と直感できるようになるためには、それ相応の努力や、その蓄積である実力が必要不可欠なのだということでもあります。
あなたもまた、よい出逢いの感受を実現するためには、そのための然るべき前準備が必要不可欠であり、そこに手間暇をかけていく時間をいま一度大切にしていくべし。