今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
快楽一路
今週のさそり座は、世間の目を逃れるための「隠れみの」を用意する算段をつけていこうとするような星回り。
夏目漱石が40歳で一切の教職を辞し、朝日新聞社に入社した直後に行われた「文芸の哲学的基礎」という講演があるのですが、ここには彼の本音に触れたなんとも味わい深い一節が出てきます。
当時の大学教授の社会的地位の高さと、ジャーナリズムの地位の低さを考えると、この身の振り方は大決断だった訳ですが、当の本人にとってみれば「えらい事を考えようと思って寝ている」生活こそが最高の生き方だったのであり、「国家有用の才よりえらいかも知れない」という箇所などは、どうも本気で思っていたのではないでしょうか。
あなたもまた、漱石のように何をしてもよい自由で暇な時間を思案していくことが一つのテーマとなっていくはずです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
運命の裏表
今週のいて座は、裏側に隠された真実を表にただしていこうとするような星回り。
『行きづりに聖樹の星を裏返す』(三好潤子)という句のごとし。掲句の「星を裏返す」とは、ほんのちょっとの関わりを通して、この世界の見え方や運命としか言いようのないものが変わってしまうことの隠喩的な表現なのでしょう。
あの時なんとなく声をかけただけとか、たまたまあの場に居合わせただけ、タイミング的に別件で色々あったのでその反動でなど、いずれにおいても「行きづり」という言葉で表現される出来事というのは、つくづく運命の裏返しでしかないのです。
あなたもまた、出会いや運命の表裏をきちんと見極めていく時間を思いがけず過ごしていくことができるかも知れません。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
そこに美はありやなしや
今週のやぎ座は、これまでの自身の経験に基づいた思考習慣をきれいさっぱり洗い流していこうとするような星回り。
陶器鑑賞家にして装丁家、そして美の追求者であった青山二郎は、「眼の筍生活」という随筆で、対象の固有性やそのあるなしをきちんと見抜くことの大切さを説きました。
現実というのは、いつだって既に思考よりも一歩進んでいる。だから、美しいものを美しいと感じられるかどうかということも、余計な思考習慣をさっぱり洗い流していけるかにかかっている。そう考えてみると、涙というものも、人がもう以前の物の見え方を刷新したい時に起きる生理現象であるようにも思えてきます。
あなたもまた、ひとつ骨董屋さんの玄人になったつもりで、改めて自分の眼をただ信じていくよう心がけていくべし。