ライフプランとお金のスペシャリストであるファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんと風呂内亜矢さんに、気になるけれど聞きづらいお金の話を伺いました。
結婚、妊娠・出産、子どもの学費や車の維持費……。これからのライフイベントにかかる金額、知っていますか? 今回は、産休中や出産後にかかる子どもにかかる費用についてアンサー!
Q.産休、育休中の生活費が不安…。どのくらい貯めておくべき?
A.出産後すぐに体調が戻るとは限らないので、半年分の生活費を用意しておけると安心
「出産後、体調や保育園の都合ですぐに職場復帰するのが難しいケースもあるので、半年〜1年分の生活費を用意しておくと安心。出産時は子ども一人につき50万円の『出産育児一時金』が支給されますし、給与の約3分の2が支給される『出産手当金』や給与の50〜67%が支給される『育児休業給付金』もあります。どちらも所得税はかかりませんし、心配しすぎる必要はありません。会社によっては、育休後も独自の給付金を出してくれるところも」(井戸さん)
[出産手当金の支給額の計算方法]
「日給」とは、直近12カ月の平均月給を30日で割った金額。「賃金日額」は、直近6カ月間の月給の合計を180日で割った金額をさす。
Q.子どもの学費はいくらぐらいかかるものですか?
A.幼稚園~高校卒業まで、平均総額953.3万円
「基本的に高校卒業までの学費は、家計の中でまかなえるように貯蓄や資産運用などで工夫しましょう。
ただし、進学先が公立か私立かによって、かかる費用は大きく変わってきます
。文部科学省の調査によると、幼稚園から高校までオール公立の場合の学習費(給食費や習い事など含む)で平均574万円、幼稚園と高校のみ私立の場合は平均781万円、オール私立だと平均1838万円という結果が出ています。教育方針も含めて配偶者と話し合っておきましょう」(井戸さん)
※文部科学省「令和3年度学校基本統計(学校基本調査報告書)」をもとに算出
Q.子どもの学費をすぐに払えない場合、進学をサポートしてくれる制度はあるのでしょうか?
A.奨学金という手段もあります
「経済的理由で進学が困難な場合、日本学生支援機構の奨学金を受けるという選択肢があります。ただ、卒業後に本人が返済する『貸与奨学金』は、低金利とはいえ負担になるので、利用する際は借りすぎないなどの計画性が必要。また、大学の学費は一般的に約500万円。中学卒業まで支給される『児童手当』の総額198万円を大学の費用に充てれば、残りは約300万円となります。子どもが生まれたら収入の1割を貯めるなどして準備しましょう」(井戸さん)
Q.「老後2000万円時代」と聞くけれど、本当に2000万円あれば安心?
A.自分の数字で考えないことにはわかりません!
「上の世代は夫婦のどちらかだけ会社に勤めているケースが多かったのに対し、現役世代は共働きが多いので、厚生年金は収入にもよりますが、一世帯20万〜30万円もらえる計算になります。もらえそうな額を確認すると、イメージとは違う景色が見えてきませんか?
使える額と、自分がどんなふうに暮らしていきたいかをすり合わせて必要な数字を割り出し、資産の一部を運用しながら対応していくのが現実的です
」(風呂内さん)
イラスト/蔵元あかり 取材・原文/国分美由紀 ※BAILA2024年2・3月合併号掲載