京都の中心部・阪急烏丸駅から徒歩3分の場所に食のセレクトショップ「YOLOs(よろず)」はあります。作家の原田マハさんも一員という、YOLOsのキュレーターが“うまいもん”をセレクト。京都や日本各地、海外から集めたこだわりの品が並びます。人の心をつかむいいものには物語がある。ひとり時間にぜひ取り入れてみてくださいね。
京都の中心地・烏丸にある食のセレクトショップ「YOLOs」
食のセレクトショップ「YOLOs」は作家・原田マハさんを発起人として、編集者やアートディレクターなど、おいしいものを知る食通がメンバーとなり、京都や日本全国、海外から“うまいもん”をセレクトしています。
セレクトされているのは、予約困難店が作る調味料やチーズ好きを唸らせる工房のチーズ、京都の名店も使う高級塩、自家製の生地を手延ばしして包んだ冷凍餃子など。おいしいのはもちろんのこと「YOLOs」は食の背景にある物語を伝えてくれる店でもあります。どんなところにこだわって作っているのか、製法や生産者の想いを知ることで、食の世界がぐっと広がります。
食べ方も気軽に相談できます。「これ、どうやって使うんですか?」とスタッフに尋ねてみると、皆さんさすがに食の知識が豊富。どう食べたらおいしいかをあれこれ提案してくれて、話しているだけでなんだかお腹が空いてきました。誰かとおいしいものの話をする時間ってなんて幸せなのでしょう。
物語のある逸品が見つかる!YOLOsメンバー厳選の“うまいもん”
「プルストカフェ=風味制作所」の粒マスタード。(写真右から)「P.mustard」1026円、「ピリP.mustard」は1134円
京都・鹿ヶ谷にあった「プルストカフェ(※2024年10月現在休業中)」の名物メニュー・大人のナポリタンにたっぷりかかっていたのがこの粒マスタード「P.mustard」。フルーティーな酸味とプチプチとした食感がクセになる味が評判で、お客さんからのリクエストで商品化を目指したそうです。その頃にちょうどコロナ禍になり、カフェを休業して本格的に粒マスタードの商品化を進めたところ、評判をよぶ商品になりました。
ノーマルタイプの「P.mustard」は、アップルビネガーと蜂蜜、砂糖などで3日以上漬け込んで作られます。刺激を求めるなら「ピリP.mustard」がおすすめ。唐辛子やスパイス、ハーブ類がプラスされていて、おつまみとしてそのまま食べてもおいしい一品です。
肉類にはもちろん、シュウマイや餃子、ポテトサラダやおでんなど、和がらしを使うような感覚で試してみてください。トマトソースにも相性抜群。
「MARISOL」の「FLOS SALIS」100g4698円 ※写真は200g、5670円
FLOS SALIS(フロスサリス)はポルトガルの南部アルガルベ地方にある伝統的な塩田です。太陽に恵まれた乾燥期の5〜9月、収穫シーズンの初回に採れた塩のみを手作業で収穫し、太陽の熱と風だけで乾燥させてできる結晶から選び抜いたものだけがこの陶器ポットに収められています。
上質でデリケート、繊細でありながらパリッとした歯ざわりと独特の口どけでほのかな甘みがあり、あらゆる料理に特別な風味を与えてくれます。カルパッチョやサラダ、魚や肉のグリルの仕上げにおすすめ。
(写真左から)「from the farm KYOTO」の「豆乳マヨ(オリジナル)」、「豆乳マヨ ハーブ&ガーリック」各1320円
こちらの「豆乳マヨ」はまるでクリームチーズみたいなコクとなめらかさのある味わい。京都宮津の飯尾醸造の「富士酢」、米澤製油の圧搾一番搾りの「菜種油」、「ゲランドの塩」など厳選した原材料を使用しています。卵、砂糖、添加物不使用。
パンやクラッカー、野菜スティックにつけてどうぞ。グラタンや炒め物に使うのもおすすめです。ハーブ&ガーリックはオリジナルに比べてしっかりとした味わいのため、シーフード料理や肉料理のソースにもぜひ。チキンサンドの隠し味にはさむとおいしいですよとスタッフが教えてくださいました。
「坂ビスケット」の「NOKKE」432円
「NOKKE」はチーズによく合うクラッカー。「おいしく個性も豊かな北海道産のチーズを下支えする北海道産のクラッカーがあったらなあ」という着想から生まれました。
北海道産小麦粉「ゆきんこ」を100%使用したクラッカーはさくっと軽やかな食感が持ち味。食べ飽きないおいしさで、チーズを主役に引き立てながら、最後に小麦の香りやうま味をしっかり感じられる名脇役です。
「吉田牧場」のチーズ。ラクレット1カット約1420円、フレッシュ1010円、カマンベール2100円、モッツアレラ1540円
こちらを目当てに店を訪れる人も多いという吉田牧場のチーズは、有名シェフや食通の人々が口々に推すチーズです。
吉田牧場は牛を飼いながらチーズ作りに取り組む日本チーズ界の先駆者。岡山県の山中に広がる吉備高原で放牧酪農をしながらチーズを作っています。育てている牛は日本では数少ないブラウンスイス種で、その甘くてコクのあるミルクから作るチーズは濃厚で豊かな味わい。吉田全作さんと息子で2代目の吉田原野さんたちによる家族経営の小さな工房で作るため、生産量が限定されています。
「YOLOs」の店頭ではコダカ(パルジャミーノタイプ)、マジヤクリ(コンテタイプ)、ラクレット、モッツアレラ、カマンベール、カチョカバロ、リコッタ、フレッシュの全ラインナップを扱っています。入荷日が異なるので、もし確実に購入したい種類がある場合は事前に電話で問い合わせてみましょう。
「ブレッシングフェバー」の「燻製コクデール」756円
「燻製コクデール」は燻製風味を付けた魚醤です。ほんの少量を加えるだけで、上質なベーコンやスモークサーモンのような燻製香が広がり、料理のコクと深みを引き出してくれます。味を足すのではなく、引き出す。そんな新発想の調味料です。
原材料は九州近海で獲れた新鮮なカタクチイワシと長崎五島灘のミネラル豊富な塩。水質のいい鹿児島県阿久根にて熟練の職人が30年以上作り続けてきました。魚醤特有のえぐみや塩辛さがなく、きれいな味わいが特徴的。
ゆで卵にかけて燻製香をまとわせたものに、プルストカフェ=風味制作所の「P.mustard」をかけて食べると絶品ですよ、とスタッフがそっと教えてくださいました。ぜひ試してみてください。
大切な人に贈りたくなる、ひと味違ったギフトも見つかる
「食堂おがわ」の『「脳天逆落し柚子胡椒」で食べる、鹿児島産種鶏もも肉の水餃子セット』2630円
「YOLOs」で行なわれた餃子イベントで好評だった水餃子のセットを贈り物にしてみては。予約の取れない京都の「食堂おがわ」の柚子胡椒に合わせて、長崎県の「餃子のかわしも」が特別に作ったオリジナル餃子のセットです。
取り寄せ餃子の専門店「餃子のかわしも」は数カ月待ちの人気店。おいしさの秘訣は皮を一枚ずつ手延ばしして手包みする餃子の皮にあります。
白玉粉を混ぜ込んでいるため、モチモチで歯切れがよく、ほんのりと小麦の甘い香りが漂います。肉餡には鹿児島県産の種鶏もも肉を使用。粗くカットされた鶏肉はプリプリとした食感と軟骨のようなコリッとした食感が残っていて、噛めば噛むほどにうま味があふれてきます。
このためにわざわざ特別に作ってもらった餃子とあって、「食堂おがわ」の鮮烈な辛味と香り漂う柚子胡椒がよく合います。柚子胡椒の原材料は唐辛子と柚子皮、塩のみ。柚子の比率が多く、塩分濃度も5%と一般的な常温商品より塩辛くありません。脳天の逆落としを受けたような辛さが特徴。入荷状況により、赤唐辛子の柚子胡椒がセットとなる場合もあります。
YOLOs「フォーチュンクッキー こと葉」1400円
小説家・原田マハさんがプロデュースしたフォーチュンクッキーも人気の品。クッキーの中に入っている紙片には、原田マハさんが書き下ろしたオリジナルのメッセージ30種類が印字されています。どれも前向きになれる言葉が詰まったクッキーを親しい友達に贈ってみてはいかがでしょうか。
原田マハさんの著書が並ぶコーナーも。おいしいものが大好きな著者のエッセイ『やっぱり食べに行こう』やOL・二宮こと葉が結婚式で感動的なスピーチに出会い、スピーチライターに弟子入りする小説『本日は、お日柄もよく』など人気の作品が並んでいます。ちなみにフォーチュンクッキー「こと葉」はこちらの主人公の名前に因んで付けられたもの。おいしいものとともに心に残る言葉を持ち帰って、じっくりパワーチャージしたいものですね。
取材の当日、店内では丹波焼の作家・栗田荘平さんの展示が行なわれていました。これまでも絵画や器、フランス雑貨など、さまざまな企画展を開催。展示情報はいずれも公式SNSでチェックできます。