今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
わだかまりを落とす
今週のさそり座は、納得などしていなくても、時にぶった切らなければならないものがあることを認めるような星回り。
名エッセイストで知られるアニー・ディラードが、文章を書く上で大切にしている秘訣について綴った『本を書く』という本のなかに、次のような一節があります。
「あなたが放棄しなければならないのは、単にもっともよく書けた文章というだけでなく、皮肉なことに、今まで書いたものの中でももっとも核になる部分なのだ。それはもともとの主要な一節である。そこからほかの文章が派生する部分であり、そのためにあなた自身その作品を書く勇気と得たというエッセンシャルな部分である。」
あなたもまた、自分が紡ぎ出す世界を変えるためにも、誰も見ていないところでどれだけ「恐るべき行為」を実行できるかどうか問われていくでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
不可避なるものだけを残して
今週のいて座は、ふっと身軽になるための決断を下していこうとするような星回り。
『浮寝鳥会社の車返しけり』(田中裕明)という句のごとし。
車という大きくて硬く複雑でともすると暴力性を宿すものと、浮寝鳥という小さくて柔らかくて単純でどこまでも平和でしかないものとの鮮やかな対比をへて、作者はおそらく後者へと近づいていこうとしている。
あなたもまた、自身の置かれた文脈で先のような対比をしてみるといいだろう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
正気の狂気
今週のやぎ座は、過去に鳴らされた警鐘を真剣にくみ取っていこうとするような星回り。
「みんなの意見」に取り込まれることなく自分なりに思考し続けることの大切さを思い出させてくれる作品に、1949年刊行のディストピアSFの古典『一九八四年』があります。
この小説の主人公は、物語を通じてずっと貫いてきた反権力的思考の末に、愛情を放棄し、思考を殺し、権力に飲み込まれ、すすんで無知になることで安寧を手に入れるという、最悪のバッドエンディングを迎えるのですが、これはまさに75年前から現代に向けて鳴らされた警鐘の書と言えるでしょう。
あなたもまた、そうしたネガティブアプローチを踏まえた上で、最悪の事態を回避するためのアクションを検討ないし実行していきたいところです。