今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
見知らぬ香りの方へ
今週のかに座は、少しだけ後に香るくらいに感情を走らせていこうとするような星回り。
『恋猫の酒樽を飛び跳ねてゆく』(高橋とも子)という句のごとし。
掲句の「恋猫」は、猫のことまでどうしても自分たちの側に寄せて考えがちな人間の恋など知ったこっちゃないと言わんばかりに、目の前を駆け抜けてどこかにいる未知の相手のもとへ、本能のままに、颯爽と飛び跳ねていく。
あなたもまた、自分が酔っぱらうのではなく、周囲や誰かをほんの少し酔わせるような仕方で動いてみるといいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
世俗のあぶらを落として
今週のしし座は、世間から提供される「当り前」に固着している状態を少しでも克服しようとあがていくような星回り。
「赤信号みんなで渡れば怖くない」というのは日本人的気質をよく表した言葉ですが、こうしたそこに同調してさえいれば安心できるがゆえに平気で普遍的規範さえ無視してしまう「みんな」について、ハイデガーほど徹底して批判した哲学者はいないでしょう。
赤信号を渡っている時、現存在は「自分もそうしなければ」「それ以外に選択肢はない」という心理状態に陥っており、仮にそのことを糾弾されたとしても、悪いのは「みんな」であって自分ではないのだというロジックで、自分を納得させ正当化してしまうのです。
あなたは、何が正しいかをはかる基準において「みんな」や「世間」を引き合いに出すのをやめてみるところから始めていくべし。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
誰かがやらねばならぬから
今週のおとめ座は、きちんと自身の十字架を通して戦っていこうとしていくような星回り。
『全人類を罵倒し赤き毛皮行く』(柴田千晶)という句のごとし。
いつの世からか、男たちは土壇場になればなるほどグズグズするようになってしまいました。そうした事情自体は令和のいまも、終戦直後の頃も、あまり変わらないのではないでしょうか。そんな男たちに喝を入れるべく闊歩していくのはいつだって女であり、それはまさに掲句のような仕方だったのかも知れません。
あなたもまた、男性上位な世の中をひっくり返していくようなつもりで過ごしていくべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
カーニバルのただ中へ
今週のてんびん座は、挫折を経てもまだ諦めきれない思いを自分の中に発見していくような星回り。
もし人が現実ではもう再現することが不可能な光景を描き出そうとするならば、まずそのイメージを知性によってしっかりと固定して、続いてそれを実際に目の前で見ているかのように模倣していかねばならず、しかも1回限りで終わるのではなく繰り返し行っていかねばなりません。
その点について、現代を代表する博覧強記の哲学者ジョルジョ・アガンベンは、ルネサンス期に生きたフィチーノの『愛について』を引用しつつ述べています。
あなたもまた、「捕まえられないものを抱きしめようとする身ぶり」を激化させていくことになるでしょう。