今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
愚か者に徹する
今週のかに座は、みずから“頭打ち”的な展開に寄せていこうとするような星回り。
1909年に新聞で連載されて翌年出版された夏目漱石の『それから』という小説は、「誰かが慌ただしく門前を駆けて行く足音がした時、代助の頭の中には、大きな俎下駄が空から、ぶら下がっていた」という書き出しから、「代助は自分の頭が焼け尽きるまで電車に乗って行こうと決心した」という結びで終わります。
つまり、「頭」の中から始まり「頭」で終わる、「頭」の運命を描いた小説だったわけです。
あなたもまた、世の流れや宿命から目をそらすのではなく、むしろ首を突っ込んで藪蛇を呼び出すくらいの気概を発揮していきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
はだかの軽み
今週のしし座は、どんな殺伐とした状況でも前向きにとらえて盛り上げていこうとするような星回り。
『ほんたうに裸電球寒明くる』(中山奈々)という句のごとし。
掲句からは、電球ひとつでも点いてくれているだけで御の字。あとは、私が重い腰をあげてぶちかますなり、さりげなく盛り上げるなりして、周囲を明るくあたたかくしていけばいいんだから、とでも言わんばかりの勢いすら感じられてきます。
あなたもまた、そんな作者の周囲を照らす太陽の在り方を見習っていきたいところです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
原始的な眼つきで
今週のおとめ座は、果たされなかった願望を自分なりに受け継ぎ、これからの時代に芽吹かせていこうとするような星回り。
大澤真幸は「日本人はあの「革命」の敗者に深く共感している」のなかで、現代の日本人の大抵は、戦後の民主化に対するのと違って、明治維新に対して殊の外ポジティブな思いをもっていると指摘。
さらにその熱い視線の先にいるのは、明治の元勲となった大久保利通のような維新の勝者ではなく、そのすぐ脇にいた敗者たちなのだと述べています。
あなたもまた、「敗者となった武士の無念」のような、なぜか気になったりひかれてしまう思いをすくい出していくことがテーマとなっていきそうです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
情緒の復権
今週のてんびん座は、公言や公開を控えてきたような言葉をついに口にしていくような星回り。
『白き巨船きたれり春も遠からず』(大野林火)という句のごとし。「白き巨船きたれり」は眼前の光景をそのまま詠んだものですが、「春も遠からず」は明らかに不意に生まれた言葉ではありません。
ずっと心のうちにありながら、やっとふさわしい機会がやってきたのだという、歓喜と安堵とが半ばするような心理の中で口にされた言葉だったように思われます。
あなたもまた、これまで口にするのさえためらってきたような今後の願望や展望を誰かに語ったり、どこかに書き出してみるといいでしょう。