今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
苦しみと喜びの比率の美
今週のさそり座は、「菫ほどの小さき人に生れたし」(夏目漱石)という句のごとし。あるいは、誇りを失わずに自分の立場や役割をまっとうしていこうとするような星回り。
掲句は、留学先のイギリスで心を病んだ夏目漱石が帰国後に、大学の講師をしていた頃に詠んだもので、野の片隅でひっそりと咲いている菫が、それでいて凛として咲いている姿を見て、そっと自分を重ねたのでしょう。
この菫ほどの小さい人に生まれたいという願いのうちには、英文学者としての『ガリバー旅行記』の知識や、留学先で身長の大きな欧米人と比較された記憶が頭のどこかにあったのかも知れません。
とはいえ、ここではあまり小難しく考えて解釈に凝るよりも、確かに小さくはあるけれど、出しゃばらない美しさをたたえた人間でありたいという素直な思いのあらわれとして読んでおきたいところ。
今週のあなたもまた、誇りをもって世の片隅に咲いていくべし。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
にわかに現実が神話化するとき
今週のいて座は、フォンテヌブロー派の裸婦に隠された素顔のごとし。あるいは、自身の秘められたルーツや霊的系譜から、改めてエンパワーメントされていくような星回り。
16世紀フランス・ルネサンス期に宮廷で活躍した画家のグループであるフォンテヌブロー派は、とりわけ女体への強迫観念に憑りつかされていました。
「冷たいエロティシズム」とでも呼ぶべきその独特の官能性は、ルーツをたどればローマ神話に登場する狩猟と貞節と月を司る残酷な少女神ディアーナないし、ギリシャ神話のアルテミスにまでさかのぼれるはず。
いや、ギリシアの先住民族の信仰(原始宗教)を古代ギリシア人が取り入れたものでることを考えれば、ディアーナ=アルテミスとは人類の意識が明晰な秩序と合理的な知性をもつようになる遥か前の、ある種の地母神であり、魔女の始祖だったのではないでしょうか。
今週のあなたも、自身の中に眠っているディアーナ=アルテミス性が不意に目ざめていきやすいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
緊張から脱力へ
今週のやぎ座は、「寝仲間に我をも入(いれ)よ春山(はるのやま)」(小林一茶)という句のごとし。あるいは、張りつめていた神経や体がそっとやわらいでいくような星回り。
あまり広くもない雑魚寝用の部屋があって、そこには昼間からごろごろしている数人の「寝仲間」がいた。
さあさ、自分も空いているところにごろりと横たわって、春の陶酔的な気分に浸ってしまおう。それで嫌なことや面倒なことのあれやこれやを、すっかり溶かしてしまえばいい。
ただし、それには一緒にぼんやりできるような「寝仲間」が必要で、からだがぎりぎり接しない程度のふれあいが鍵となる。
今週のあなたもまた、そんな条件がそろうような機会や場所をおのずと求めていくことになるはず。