今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
困惑と拒絶のはざまで
今週のかに座は、不可解な現実を釈然としないながらも黙って受け入れていこうとするような星回り。
『頭悪き日やげんげ田に牛暴れ』(西東三鬼)という句のごとし。
「げんげ田」は、田んぼに優しげなうす桃色の花を咲かせるげんげが、一面に咲いている様子を詠んだ春の季語。掲句では、そんな穏やかで美しい光景のなかで、きげんの悪い牛が暴れているというのです。
あなたもまた、恐怖以前の困惑をこころに刻んでいくべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
しらふに徹する
今週のしし座は、他人を「説得」しようとしても無駄なのだというということを改めて痛感していくような星回り。
扶桑社ミステリー・シリーズで文庫化されている、アン・マクリーン・マシューズの小説『ザ・ケイヴ』は、主人公である臨床心理学者のヘレンが休暇で訪れた湖畔のキャビンで、純朴な田舎者だと思い込んでいた管理人のケヴィンに隙をつかれて監禁され、ひどい目にあわされかけるところから始まります。
当然、ヘレンはそれに対抗しようとするのですが、丸裸にされた彼女には利用できる武器がなく、これまで培ってきた「精神分析の技術」で苦境を切り抜けようと試みます。
あなたもまた、上下関係に基づく「分析」や「説得」の代わりに、対話を通して徐々に合意が形成されていく過程を自他に促していきたいところです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
音連れとしての訪れ
今週のおとめ座は、視覚に偏り過ぎた感覚バランスを整え直していこうとするような星回り。
『見えざるも耕運機行き返す音』(右城墓石)という句のごとし。
人間の目というのは、空間的にも時間的にも近くのものや「いま」を見るようにできていますが、逆に「耳をすます」や「耳が早い」などの慣用句などからもわかるように、耳というのはどちらかと言うと、遠くのものや「いま」からかけ離れたものを聞くようにできています。
あなたもまた、少し遠い先の未来に耳をすませたり、今ここにないものへ耳を傾けたりといったことを心がけてみるといいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
いのちのきほんの型
今週のてんびん座は、生きるのに必要な熱(愛情や親しみ、活力)が全体に伝わって対流させていこうとするような星回り。
地球の大気はつねに太陽からエネルギーを得て運動しており、下から熱を加えてやれば、そこには「ベナール型対流」という現象が現われ、例えば鍋に火をかけると次第にお湯が上がってくるところと沈んでいくところができて上下に回転し、この動きによって鍋の底の熱が全体に伝わっていきますが、これは何千億もの分子が協調してパターンを創りながら運動しているのです。
この「ベナール型対流」こそ、ある意味で、生命の最も基本的なかたちというか、無秩序から秩序が出来上がるモデルであり、こういうものがないと生物は生きていけないんです。
あなたもまた、一周まわってどころ、何周もぐるぐるしてはじめて何かが腑に落ちてくるような瞬間を気長に待っていくべし。