思わずほっこりしてしまうようなデザインで、いつもの食卓を一層楽しくしてくれる器を手がける山口県萩市の「大屋窯」。まるで人の肌のような、ほっとする温かさを帯びていて、和洋問わず、日常のあらゆるシーンにもフィットするシンプルな色彩も人気です。
萩焼のおしゃれな器たち
山口県萩市で作られている、柔らかな風合いが特徴の萩焼。萩藩を開いた毛利輝元が藩の御用窯を設けたのが始まりとされ、茶の湯で使うための茶陶として約400年以上前から珍重されています。一楽・二萩・三唐津と言われるほど、楽焼(京都)や唐津焼(佐賀県唐津市)と並び、古くから茶人に愛されてきました。
経年劣化を楽しむことができる萩焼は、原料となる陶土が粗いため浸透性や保温性が高く、表面の細かなヒビから水分が浸透していくのだとか。そのため使い込むほどに色合いが変化し、味わいが増していきます。「萩の七化け」とも呼ばれ、萩焼の魅力の一つとなっています。
萩市にある萩焼の窯元の一つ「大屋窯」は1969年に当主の濵中月村さんが開窯。JR萩駅から車で5分ほど、萩市南部の自然に囲まれた日輪山の麓にあります。
大屋窯は温かみのある作風で、茶陶から日々の器まで幅広く取り扱っています。どれも和と洋のどちらのシーンにも合うデザインが特徴で、これまで意匠をこらした多くの陶器を制作してきました。2000年には磁器の制作も始まり、近年では現代の暮らしにあわせた器づくりを手がけています。その中から、いくつか磁器の作品をご紹介します。
食卓を温かくしてくれる遊び心
大屋窯の萩焼・フェイスシリーズ「丸皿 フェース」(小サイズ 864円)。お皿の底には人の顔があしらわれていて、よく見てみると一皿ずつ表情が違っています。食事を食べ終わった後に、どこか愛らしい表情の顔が出てきたら、おもわず心がほっこりとしそう。
「箸置き フェース」(648円)は、一般的な箸置きと違って、いつもの食卓の雰囲気を一段と明るく、楽しいものにしてくれます。同じ「箸置き」でも、一輪挿しが付いたものも。
想像力が膨らむデザイン性
魚の形をしたスプーン「魚(白)」(864円)や、鉄釉(てつぐすり)で文様を施したマグカップ(3,240円)なども。まるで大屋窯がある日輪山麓の豊かな自然を表現しているかのよう。作品一つひとつからイメージが広がります。
同じお皿でも二つとない形
すべて手作りのため、同じ種類の食器や小物であっても、よく見てみると一つひとつ形が違います。お皿一つとっても、表情が異なり、「どのお皿にしようか、お好みのものを探す楽しさもあると思います。お客様の中には実際に自分の目で見てから決めたいと、わざわざこちらの大屋窯までお越しになる方もいらっしゃいます」とスタッフさん。
大屋窯のネットショップからは定番商品を購入することもできます。
同じ絵柄のお皿でも、一枚一枚で表情が異なるため、自分好みのものを選びたいという方は、ぜひ窯元を訪れてみてはいかがでしょうか。
photo / 渡邊 孝明
大屋窯
山口県萩市椿905
TEL : 0838-22-7110
営業時間 : 13:00~17:00
定休日 : 不定休(お問い合わせ可)