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丘と一体化した2世帯住宅庭の眺めを楽しみながら心地良く暮らす

インテリア

芳賀邸は2世帯住宅。お互いの目線を配慮して、2世帯をつなぐブリッジの部分まで傾斜を上りそこから今度は庭に向かって下がるように小さな丘のような地形が新たにつくられた。

芳賀邸は2世帯住宅。芳賀さん夫妻から出された要望は「子世帯の建物とは離してほしいけれども、どこかでつなげてください」というものだった。
「よくある世帯が上下で分かれるつくりには音の問題とかあるのでしないでくださいって言ったんですね」と話すのは奥さん。「あと目線が合わないようにしてくださいとお願いしました」
その要望通り、芳賀邸は左右に分かれて2階部分に設けたブリッジによって連結されている。2つの棟がずれて配置され、かつレベルの違いもあって目線が合いにくくなっているが、このレベル差は最初のプランではなかったものという。

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2世帯を連結するブリッジ下に庭へのアプローチがつくられている。

「最初のプランでは直接目線が合わないようにしたいということで子世帯のリビングは2階にしていたんですが、途中でリビングは庭に面してほしいという要望が出てきた。1階にしたら当然目線が合ってしまうので、それで丘をつくって子世帯の建物自体の高さを上げることを思いつきました」(建築家の岸本さん)
そこで、2棟をつなぐブリッジの下の部分まで傾斜を上りそこから今度は庭に向かって下がるようなかたちで新たに小さな丘のような地形がつくられ、この地形と2つの建物とが一体化するように計画が練り直された。

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小さな丘状になった部分を上っていくと徐々に風景が変わりもう少し進むと庭が現れる。左が子世帯のリビング。

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丘の最高地点から子世帯前に広がる庭を見る。

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親世帯と同様に開口部分に巡らされた縁側。「縁側に出て食事をしたりしたい」との希望から途中で付加された。

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親世帯の建物前からアプローチ方向を見る。右上が子世帯の建物。親世帯の開口外部には縁側がつくられている。

この新たにつくられた起伏によって、庭は道路側からは直接見ることができなくなったが、敷地に奥行きをつくり出し、さらにはその奥に何かあるという雰囲気をつくり出すことになった。庭の奥側の緑には手を入れていないが、建物に近い側の緑は配色にも気を遣って新たに配置されたもの。奥へと人を誘うように、また奥行き感が増すように、アプローチ部分からの流れが巧みにデザインされた。

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子世帯の建物前から親世帯と庭を見る。

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親世帯1階のコーナーにつくられたベンチ付近から庭を見る。玄関からこのコーナー部分までタイルの床と簾天井が続く。手前の柱は構造的な役割およびDK部分とベンチ付近のスペースを分節する役割をもたせられている。

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親世帯の開口部分に縁側が巡らされている。平屋の屋根部分にはウッドデッキが張られて大きめのテラスとなっている。

建物の方の設計コンセプトはまず2つの建物の性格を変えることだった。岸本さんは「親世帯はどちらかというと暗がりのある空間、そして子世帯のほうは対照的にオープンで明るい空間としました」と説明する。
奥さんは当初、親世帯の空間の暗さに少し抵抗があったようだが、いまは「まったくOK」どころか「帰宅のときはウキウキしながら家に入ってくる」ほど気に入っているという。
親世帯の玄関は庭に面した空間と比べかなり暗めだが、入って左右に長い空間になっていて、右へ行くと2階上る階段とともにDK、和室へとつながる。そして左手はそのままダイレクトにDKへ。この部分は床にタイルを張り、天井に簾を使用していて玄関からずっと外部的な空間が回り込む仕掛けになっている。そしてその終点となるコーナー地点には大きめの開口に接してL字形のベンチが設けられている。

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芳賀さん夫妻がともにお気に入りの場所は開口近くに設けられたベンチ付近という。壁には和紙が貼られている。

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DKと和室を見る。

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和室が小上がりになっているためちょっと腰かけることもできて便利という。

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右が親世帯の玄関扉。入って右に進むと階段やDK、和室に、左へ行くとDKに至る。壁に沿ってベンチが設けられている。

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子世帯の玄関ホール。右上の窓の建具は以前の家のものを活用している。

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