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対角線で切ってずらす可能性は無限大ユニークな「斜めの空間」

インテリア

横浜市の見晴らしの良い住宅街に建つKさん邸。今年の7月に竣工した家では、ご主人、奥さま、奏(かなで)ちゃん、季(みのり)ちゃんの4人家族が、新しい生活を楽しんでいる。
「以前はマンション住まいだったのですが、僕も妻も戸建で育ってきたので、いつかは自分の家が欲しいよね、と話していました。子どもたちにとって思い出に残るような“実家”をつくってあげたいという想いもありましたね」(ご主人)。
そして、土地探しを始めたご夫妻。すぐに良さそうな土地が見つかったが、いまいちピンと来なくて、しばらく保留にしていたと振り返る。
「当初の候補になったのは、落ち着いた住宅地にあって、真四角で平坦で全面道路が広いところ。なんの不足もなかったけれど、なんだか面白味を感じなかったんです」(奥さま)。
そんなある日、不動産屋さんに紹介されたのがこの土地だった。
「旗竿地なのですが、突き当りの南東側が見事に開けていて、眺望が素晴らしいんです。すぐに気に入って、即決しました」と、ご主人は振り返る。
家を建てるなら、「自由度の高い注文住宅に」と考えていたKさんご夫妻。設計は、
IYs inc.(イノウエヨシムラスタジオ株式会社)の井上亮さんと吉村明さんに依頼した。

IYs inc.(イノウエヨシムラスタジオ株式会社)

「不動産屋さんに紹介していただいたのですが、スタイリッシュでユニークなデザインの事例が多くて、この方たちにお願いしたら、楽しい暮らしになりそうだなと思いました」(ご主人)。

Kさん邸エントランス。旗竿地だが、奥は段差になっていて、南東に視線が抜ける。

オリジナルの表札。長方形を対角線でくぎったデザインは、この家のプランとリンクしている。

家づくりにあたってKさん夫妻が希望したのは、眺望を生かすこと、こもり感も併せ持つこと、そして床座でくつろげることだった。それを受けた井上さんと吉村さんは、実に50余りのプランを考案。Kさんご夫妻と話し合いを進める中でたどり着いたのが、「長方形の建物形状に対角線を引いて、そこでフロアを上下にずらず」というシンプルだがユニークな案だった。井上さん、吉村さんは、「対角線でできる段差が舞台のようになり、舞台の上に立つと一番良い方向の眺望が楽しめるようにしました」「丘陵地という周辺風景に合わせ、家の中にもリズムのある高低差をつくりました」と、その狙いを語る。
さらに、斜線制限に応じて斜めにした屋根の形状も相まって、家の中は「低いところで1.3メートル、高いところで3.4メートル」という幅広い天井高に。大きく開いた南東の反対側は開口を控えめにしているので、開放感とこもり感がうまいこと両立している。
一般的な四角い間取りとはかけ離れたこのアイデア。提案を受けたKさんご夫妻は、「どんな家になるんだろう」とワクワクドキドキしたという。
「せっかく建築家さんに頼むなら、自分たちでは思いつかない発想を取り入れたいと思いました。あと、本当にたくさんのプランを提案していただく中で、だんだん普通じゃ物足りなくなってきたんです(笑)。訪れる人が『わあ!』って驚いて笑顔になってくれる家にしたいと思うようになりました」(奥さま)

Kさん邸の初期のラフ模型。床と天井の斜めの線が生み出すオリジナルの空間がよくわかる。

2階のリビング・ダイニングに上がったところ。低い方のフロアがダイニング、階段を3段上がった上がリビングになっている。さらに上がったところにはロフトを設けていて、家の中は4層に分かれる。

南東側は一面に窓を設け、見事な眺望を楽しめるように。窓の下にはつくりつけた棚は、ベンチとして腰掛けることもできる。ダイニング側は白いクロス、リビング側はシナベニヤの天井とし、気分が自然と切り替わるようにした。

リビングからロフトに上がる階段は、幅広でゆったりした雰囲気に。透かし階段にしたことで、視線の抜けを確保した。中央の壁は、「あった方が落ち着く」というご主人の要望で設けた。

ダイニングの床はシカモアのフローリング、リビングの床は絨毯。リビングで床座でくつろぐのが、Kさん一家の団らんスタイル。ダイニングからリビングに上がる階段は可動式で、気分によって置き場所を変えられる。

ロフトに上がる階段の奥には食材を保管する棚をつくり、空間を有効活用。ダイニングとリビングの段差によって1階からロフトまでがひとつながりの空間となっているが、全館の空気を循環させる換気システムを取り入れているので、高低差による温度差は解消されている。

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