仕事で大成功を成し遂げたいとか、そんな大それた野望はないけど、なんとなくうまくやりたい。いつもの働き方を小さくアップデートする「お仕事ハック」を紹介します。
ぱぴこ
今回のお仕事ハックは「上司と相性が合わない」という女性のお悩みに、外資系OLコラムニストのぱぴこさんがアドバイス。
上司と相性が合わない
直属の上司と相性が合わず、悩んでいます。その上司はなぜか私にだけ短気で冷たく、成果を上げてもあまり褒めてくれません。そういう性格の人なのかもしれませんが、私は合わないと感じてしまいます。とはいえ、上司と合わないという理由だけで転職するレベルでもないので、今の仕事のまま対処できればと思っているのですが、まずは何をすればいいのでしょう。
合わない上司、いやですね! 「転職するレベルでない」とのことですが、人が転職をする理由を深堀りすると、人間関係であることはめちゃくちゃ多いです。
「仕事なのに、人の合う・合わないで判断するなんて……」と軽んじてしまいがちですが、日々の対人関係ストレスは自分をじわじわと蝕みます。
私は最近別の部署に異動しましたが、理由は端的にいうと「上司が無理だった」です! もちろん「専門の業界知見を増やしたかった」「担当領域を変えたかった」「その部門と仕事をしていて楽しかった」などのポジティブな理由もありますが、「やってらんね☆ 異動だ☆」と思った大きな原因が上司です。
一般的な転職理由を確認してみても、マイナビ転職が働く女性900人に実施したアンケート調査「転職したいと思ったきっかけ」第4位に「人間関係に悩みがあるため」が入っています。
なので、「上司と合わないなんて子どもみたいな理由で……」と自分のストレスや不満感に蓋はしないようにしましょう!
自分をムリヤリ納得させずに、正しく理解しましょう
さて、人間関係は転職理由になりうるという話を前段でしましたが、この「合う・合わない」という感情は個人差のあるものなので、定量的に判断するのが難しいです。そして、日本人は特に定量性を欠いた生理的な理由を軽視しがちです。
私が相談文で気になったのは以下のポイントです。
その上司はなぜか私にだけ短気で冷たく、成果を上げてもあまり褒めてくれません。そういう性格の人なのかもしれませんが、私は合わないと感じてしまいます。
「私にだけ短気で冷たく、成果を上げてもあまり褒めてくれない」と感じているのに、そのあとにくるのは「そういう性格の人なのかもしれない」という記述です。
前後関係が矛盾していますよね。明確に「私にだけ」と強い表現をしている点に、不満が感じ取れます。「自分には冷たく、成果も認められていない」という不満を、上司の「性格」として処理するのはいささか不自然です。
上司の態度が相談者さんの「気のせい」なのか「事実」なのかは正直わかりませんが、おそらく周囲との比較で「自分に対する態度が冷たいのではないか?」と感じる瞬間が多々あったということでしょう。
客観的に見て、周囲と相談者さんへの扱いにちがいがあるかは周囲の人に相談する形で聞き出すこともできます。
しかし、信頼できる人でないと納得する答えが返ってこなかったり、相談がまわりまわって上司の耳に届いたりするなどのマイナス効果があるため、取り扱い注意なことを忘れないでください。
上司との関係性を気にせざるをえない理由
上司との合う・合わないで、もっとも影響があるのが「評価」です。
上司という存在も人間なので、
【1】めちゃくちゃかわいがっている部下
【2】ちょっとうとましいと思っている部下
がいた場合、【1】を推すという行動には出るでしょう。
上司との関係が職場の悩みの上位にくるのは、単純な居心地の良し悪しを超えて、この「評価」という点に大きくかかわるからです。
この相談文では上司の人となりが書いてあるわけではないため、具体的な改善ポイントを挙げることが難しいですが、基本的に「合わない上司」という対象とうまくやろうと思うと、コミュニケーション部分にフォーカスせざるをえません。
しかし、そもそも苦手意識を持つ対象に積極的にコミュニケーションをとりにいき、より良い関係を築くというのは非常に難しいことなので、建設的なのか? というと疑問が残ります。
自分の実績が認められていないと人は不満を感じますし、適切な評価をしてくれる場を求めるものです。ただし、これが事実として「低評価」を受けているのか、それとも評価対象にならない仕事ばかりをしているのかは切り分けが必要です。
そのため、すぐできるアクションとして、「なぜ合わないと思うのか」を書き出してみることをオススメします。これは自分の気持ちや思考の整理にも役立ちます。
不満を書き出すことで見える全体像
人との合う・合わないは、どんなに冷静に判断しようとしても自分の感情が入ります。ですが、頭の中でぐるぐる考えてしまうと、思考のドツボにはまり込んでしまいます。
人は「考えている」つもりで「悩んでいる」ことが非常に多いため、整理のためにも書き出すことは、全体を把握するためにも必要です。