時代を反映した女性美を表現し、進化を続けるファンデーション。マキア創刊時から15年の理想の肌の歴史を振り返るとともに、2019年秋冬おすすめのファンデーションをご紹介します。
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女性誌編集者を経て美容ジャーナリストに。商品の特徴を的確に捉えた記事で人気。斬新な視点と力強い言葉で多くのメディアで活躍。
「私、スッピンなの」そう言って驚かれるのは女にとって永遠の“夢”。ただスッピン肌を理想と思っている訳ではない。
肌作りに対する女心はいつも複雑。たとえ完璧な素肌が手に入っても、やっぱりファンデを塗ってしまうのだろう。塗りたくない、でも塗りたい……完全に相反する思いがそこにあるのだ。
でも、コスメ界はその辺りの矛盾をよくわかっていて、進化するほどに矛盾を叶えている。つまりどんどん「罪悪感のないファンデ」が増え、「素肌に見えても欠点カバーしているファンデ」が現実のものとなっているのだ。
マキアが創刊された15年前、合コンを背景にした“モテ至上主義”から、一見ナチュラルにしてきちんとカバーされたマット肌が主流だった。“愛され肌”追求から、つるんとマット、陶器のようなドーリー肌も求められ、一方では、BBクリーム台頭がファンデの後ろめたさを解決してくれた。
やがてすっぴん風憧れ肌、イエベ・ブルベ発想を経て、今年注目の「ハイブリッドファンデ」や、「肌一体型ファンデ」の流れへと繋がっていく。こうした変遷のことごとくが、全女性の望む「肌に良い化粧」「見えない化粧」という完成形にいよいよ近づく見事な進化を意味している。いやもうほぼ完成したと言っていいのかもしれない。
ついに矛盾が成立!“女の見果てぬ夢”が叶う時が来たのである。
長く続いたギャルメイクから一転、“モテ意識”が高くなった女性たちは、隙のないマット肌を好むように。アラを隠した盛り肌を作るファンデーションが人気に。
2004年11月号 撮影/富田眞光〈vale.〉
愛され顔=大人かわいいを追求したメイクが主流に。肌はマットさがやわらぎ、毛穴が見えないお人形のような、無機質ともいえるつるんとした仕上がりに皆が夢中に。
2010年4月号 撮影/八木 淳〈SIGNO〉
ファッショントレンドと連動してメイクレス感が強まった年。塗っているのにメイク感のないファンデーションが続々登場。コンシーラー機能搭載のリキッドや、BBクリーム人気が高まる。
2015年10月号 撮影/寺田茉布〈LOVABLE〉
ベースメイクにもパーソナル化の波が。本誌企画「イエベ・ブルベ」メイク企画が人気に。各ブランドから発表されるファンデーションも豊富な色バリエでイエベ・ブルベに対応。
2018年9月号 撮影/菊地泰久〈vale.〉
ファンデーションをつけている時間を考えると、肌への負担感が否めない……のは過去の話。今、むしろつけているほうが肌の調子がいい!と声を大にして言えるのが、保湿や美白などスキンケアアイテム顔負けの効果を備えた“ハイブリッド”なファンデーション。なりたい肌印象と肌力アップを両立できるのは、もう当たり前!
(上から)化粧膜に美白パック機能を搭載。アルビオン ホワイトニスタ ファンデーション(医薬部外品) SPF30・PA++ 全6色 30mL 各¥6000/アルビオン 美白有効成分「4MSK」配合。シミの気にならない透明肌へ。HAKU 薬用 美白美容液ファンデ(医薬部外品) SPF30・PA+++ 全4色 30g 各¥4800(編集部調べ)/資生堂 天然由来成分97%配合。レソンシエル SPF20・PA+++ 全10色 30mL 各¥7000/ゲラン
自然に肌となじみ、その美しい仕上がりを長時間崩さない。これはいつの時代もベースメイク最大のテーマ。今年はファンデーションの形状にかかわらず、表情にピタッとなじんで軽やかに密着する、まるでオーダーメイドのドレスを纏うかのようなファンデが続々登場。つけた直後から落とす瞬間まで肌に寄り添い続ける仕上がりは、感動もの。
(上から)しなやかにフィット。コフレドール リフォルムグロウ リクイドUV SPF36・PA+++ 全7色 30mL 各¥3500(編集部調べ)/カネボウ化粧品 素肌とシンクロ。アンリミテッド ラスティング フルイド SPF24・PA+++ 全24色 35mL 各¥5400/シュウ ウエムラ 化粧もち13時間の頼もしさ。エスプリーク シンクロフィット パクト UV SPF26・PA++ 全7色 各¥2800(編集部調べ)/コーセー
何といっても保湿力のレベルアップ感がスゴイ! それは、肌悩みの上位に君臨する「乾燥」を、いとも簡単にケアする勢い。高機能な美容液やフェイスマスクばりの保湿成分により、ベースメイクしながら潤いを実感。手ごわい乾燥の季節こそ、潤いはファンデーションで手に入れる時代になったといえそう。