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今さら聞けない「恐れ入ります」の正しい使い方

「恐れ入ります」の意味と正しい使い方とは? 「恐縮です」「すみません」「痛み入ります」などの類語との違いを紹介。シーン別の適切な使い方を、マナー講師の川道映里さんが解説します。

覚えておくと便利な言葉のひとつに「恐れ入ります」という表現があります。

ビジネスシーンでよく使うそれですが、複数の意味を含んでいるため、さまざまなシーンで応用できることをご存知でしょうか。

ここでは「恐れ入ります」の意味に合わせた正しい表現について、類語と比較しながらご紹介します。

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「恐れ入ります」の意味とは?

「恐れ入ります」は上司や取引先など目上の人や敬意を表したい相手に使います。

丁寧でやんわりとした印象を相手に与えるので、電話応対や来客応対などさまざまなビジネスシーンで使えるのがポイント。

この「恐れ入る」には、『広辞苑』第七版を引くと5つの意味があります。

1.大変恐れる
2.あやまちをさとってわびる。また恐縮する
3.かたじけなく思う。もったいないと思う
4.相手の力量や実力に圧倒され、屈する
5.全くあきれる

このように複数の意味を持つ言葉だからこそ、状況によっては「申し訳ございません」や「ありがとうございます」など、相手にわかりやすい言葉で伝えたほうがいい場合もあるでしょう。

便利な反面、意味をきちんと理解し、臨機応変に言葉を選ばないと誤解を生んでしまう恐れもあるのです。

それでは、具体的にどのような場面で使うのが適切なのでしょうか。

シーン別「恐れ入ります」の使い方

複数の意味を持つからこそ迷う人が多い、「恐れ入ります」の使い方。まずは、前述の意味と対応した使用シーンを考えていきましょう。

1.相手に何かを頼むときの「恐れ入りますが」
2.相手に何かを尋ねるときの「恐れ入りますが」
3.感謝やお詫びの気持ちを伝える「恐れ入ります」
4.勝負などで負けたことを認める「恐れ入りました」
5.驚きや呆れたことを伝える「恐れ入りました」

このように、ひと口に「恐れ入りました」といっても、その意味や使用シーンは分かれてきます。さっそく、例文とともにシーン別の使い方を見ていきましょう。

(1)相手に何かを頼む場合の「恐れ入りますが」

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この場合の「恐れ入りますが」はクッション言葉といいます。

相手に「お願い」「お断り」「反論」などをする前にひと言添えることで、相手の立場を思いやったニュアンスとなります。

例文

「お忙しい時間に恐れ入りますが、打ち合わせの資料に目を通していただいてもよろしいでしょうか」

解説

相手に面倒をかけるだけでなく、資料に目を通す時間を割いてもらうことに対して、お詫びの気持ちが込められています。また「恐れ入りますが」の前に「お忙しい時間に」をプラスするだけで、より丁寧に気持ちを伝えることができるのでおすすめです。

状況によっては、何かをお願いするときに「~してください」と言うと、命令形として受けとられたり、上から目線だと感じられたりすることもあります。ですから、「~でしょうか」と依頼形にすることで、相手に選択権がある言い回しに変えられます。

(2)相手に何かを尋ねる場合の「恐れ入りますが」

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この場合の「恐れ入りますが」も(1)と同様のクッション言葉です。

例文

「恐れ入りますが、○○様はいらっしゃいますか」

「すみませんが」に言い換えることもできますが、これだとビジネスシーンではカジュアルな印象を与えることがあるため、注意しましょう。

この場合の「恐れ入りますが」は、「忙しいところ悪いのだけれど」という相手に配慮したひと言を指します。

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