国や自治体からの補助金、金融機関の融資に関する情報を一括検索できるデータベース「融資助成金サーチ」がネット上で脚光を浴びている。
コロナショックで資金難に陥る企業や個人が激増する中、国や自治体からの補助金、金融機関の融資に関する情報を一括検索できるデータベース「融資助成金サーチ」がネット上で脚光を浴びている。
小説家の百田尚樹は「何かやれることはないかとボランティアで作ったデータベースらしい」とそのスタンスを称賛し、タレントの武井壮も「こんなサイトもできてるよ」と告知を協力するなどツイッター上でも拡散され続けている。
制作したのは、大阪大学工学部の現役学生と卒業生の有志が手を組んだエンジニアチーム「令電会」。このたびしらべぇの取材に応じた。
■倒れゆく人たちを救え
新型コロナウイルスの打撃をモロに受けた中小企業の倒産ラッシュが、5月末にも始まるという声が広がっている。
また企業のみならず、収入激減により困窮する人も増加しており、国や地方自治体、さらに金融機関は中小企業や個人を救済するべく、様々な助成金や補助金事業、融資、出資などの支援策を打って出ている。
しかし、多様な各地の助成金・補助金制度を常に把握した上で、自身が適応しているかをジャッジすることは容易ではない。万が一、その事業に気がつかなかければ救済されるチャンスまで失ってしまう。
そんな悩ましい問題を解決してくれるのが、条件を入れるだけで国、各自治体が行なっている助成金事業などを一斉検索できる「融資助成金サーチ」だ。
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■「支給される上限金額」が一目で
4月29日に公開された同サイト。サイト内には国や地方自治体が行なっている補助金、助成金事業が登録されており、検索窓に居住エリアや、「コロナ」「補助金」といったキーワードを入れると、瞬時に10数件の補助金事業の概要が登場する。
情報が整理されているので見やすく、その上みなが最も知りたい情報である「支給される上限金額」が強調されているのも特徴。
助成金などの情報は、自然言語処理技術により自動で収集し、随時アップデートされているが、クリックすると各省庁や自治体の当該ページに飛ばされるので、すぐに申請に向けての準備を開始できる。わかりやすさと、使いやすいにこだわっているサイト設計だ。
■まさに怪我の功名
「令電会」は大阪大学工学部のOB3名と現役生1名で構成。開発のきっかけになったのは、コロナ余波で仕事が激減したというミュージシャンの友人からだった。
貯金を切り崩し生活する姿が気の毒になり、補助金などの情報を調べてあげたところ、「政府の情報は色々なところに散らばっていて、文章で書いてあったりファイルに書いてあったり、やっと見つけたリンクは切れていたりと、対象の情報を見つけるにも一苦労でした」と予想以上にハードルが高かったことを痛感。
「これはかなりの数の方々が、探しにくい、わかりにくいと感じているはずだと思い、一括で検索できる検索エンジンを作ったらいいのでは、と思い立ちました」と、まさに怪我の功名でこのサイトは誕生することになった。
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■知られていない助成事業も多数
開発にあたって「令電会」メンバーが省庁に補助金などの利用実態にヒアリングしたところ、予想外のエピソードを耳にしたという。認知度の低い補助金事業が多くあり、お金を払う側の省庁職員が対象者に「補助金払える可能性があるので利用してみないか」と営業しているという現実だ。
「本来行政の支援を受けられるのに、その存在を知らないがために支援を受けていない人が沢山いるはず。そういった方々には、融資助成金サーチで使える融資や補助金を見つけ、今後の事業や生活に役立てて頂きたいと願っています」と令電会メンバーは思いを吐露。
今後について聞くと、「中小事業者や個人の方がお金に困ったとき、一番最初に思い出してもらえるような、『融資助成金のグーグル』を目指します! その他にも、令電会では、社会や人々のお役に立てる様々なサービスを生み出して行きたいと考えています」と意欲を語ってくれた。
■現状は完全ボランティア
(「令電会」の若きエンジニアたち)